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 専業のベンダーが保守サービスを提供する「第3者サポート」が注目を集めている。欧州SAPのERP(統合基幹業務システム)の保守を第3者サポートに切り替えたカルビーは、1年かけてリスクを検証した。

 第3者サポートの最大のメリットは価格の安さだ。専業ベンダーである日本リミニストリートの場合、製品ベンダーが提供する保守料金と比べ、50%程度の費用で保守サービスを提供するのが売り文句だ。

 コスト削減効果が大きい一方で、第3者サポートにはデメリットもある。システムを「塩漬け」にしなければいけないことだ。製品ベンダーとの保守契約を打ち切るので、新製品や新機能は利用できなくなる。

 メリットとデメリットが明確な第3者保守だが、利用する際にはどのような準備が必要なのだろうか。2019年1月に「SAP ERP」で構築した基幹系システムの保守サポートをリミニストリートに切り替えたのがカルビーだ。「標準機能を中心に導入したからこそ、システムの安定稼働が可能になり、第3者サポートに移行後のリスクも回避できると考えた」と小室滋春執行役員情報システム本部長は話す。

 カルビーは2016年1月にSAP ERPを利用して基幹系システムを構築した。標準機能をフル活用することで、アドオン(追加開発)ソフトを100本程度と少なく抑えた。

 アドオンソフトが多い場合、システムが複雑になり保守の手間が増える。実はカルビーは1997年、SAPのERPパッケージ「R/3」を利用して基幹系システムを構築した。その際には、5000本以上のアドオンソフトを開発。ERPパッケージにパッチを当てる際は、システムのどこに影響するか分からずに難しい運用を迫られた。その反省を生かしたのが2016年1月にSAP ERPで再構築した基幹系システムだった。

撤退時は再導入で対応

 カルビーは現状の基幹系システムが安定稼働しており、大きな変更が不要になることを確認したうえで、第3者サポートを利用する際のリスクも検討した。「思い浮かぶリスクについて発生確率と発生した場合のインパクトを考慮して対処法を考えた」と小室本部長は話す(図1)。

図1●カルビーが考慮したポイントと解決策
図1●カルビーが考慮したポイントと解決策
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 検討時に最大のリスクとして挙がったのが、「リミニストリートが日本から撤退すること」だ。そうなれば保守サービスが受けられなくなり、基幹系を利用するのも難しくなる。

 カルビーはこのリスクへの対処方法として「ERPの再導入」を掲げた。「標準機能を中心に導入したので、再導入するとしても多くの費用はかからない」と判断した。

 もう1つ大きなリスクと考えたのが、リミニストリートのサービスの品質だ。第3者サポートを利用するのが初めての同社にとって、「社内でも期待通りの品質のサービスが提供されるのか、懐疑的な意見があった」(カルビーの田中良情報システム本部情報システム部システム企画課長)。サービス品質を検証するために、カルビーは1年間実際にサービスを受けた。その結果、社内で懐疑的だった担当者も第3者サポートへの移行に肯定的になったという。

 これから第3者サポートを利用する企業は増えるだろう。利用の際には、リスクを踏まえた慎重な検討が必要になりそうだ。