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企業の売上高に関する新たな会計基準である「収益認識基準」が、2021年4月以降に始まる事業年度から適用になる。現在の工事進行基準に代わりシステム開発の売上高の計上にも適用になることから、JISA(情報サービス産業協会)がITベンダー向けの実務指針を公表した。

 JISAが2019年9月に公表した実務指針は「『収益認識に関する会計基準』を巡る論点及び実務対応(以下、実務対応)」と呼ぶ文書だ。収益認識基準が適用された際に、システム開発や保守サービスなどの売上高をどのように計上すべきかを解説している。

 「ポイントは基準の解釈だけではなく、実際に現場で実施すべき事項まで踏み込んで記載したこと」とJISAの田中岳彦企画調査部次長兼企画課長は説明する。目指したのは「虎の巻」だという。収益認識基準の中から、システム開発において解釈や実行が難しい項目を現場の実態に合わせて36ページで説明する。

 収益認識基準の適用により、これまで受託ソフトウエア開発の会計処理に適用となっていた工事進行基準が廃止される。これにより受託ソフトウエア開発を手掛けているITベンダーは、例外なく会計処理を見直すことになる。

 収益認識基準の特徴は、顧客と交わす契約書などの単位ではなく、実際に顧客に提供するサービスや製品単位に、売り上げを計上することを求めている点だ。契約に含まれるサービスや製品を「履行義務」と呼び、履行義務が終了するごとに売り上げを計上する。収益認識基準では売り上げの計上単位を明らかにし、売上高を計上するためのプロセスを5つのステップで実施するように定めている(図1)。

図1●収益認識基準の考え方
図1●収益認識基準の考え方
5つのステップに基づいて売上高を計算し、計上することが求められる
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現場の実務に則して解説

 JISAの実務対応では5つのステップの中から、特にシステム開発で解釈が難しい部分について具体的に例示している。最初のステップとなる「契約の識別」の場合、「契約書の調印は未了だが、着手依頼書や委託決定通知書などを受領した場合、収益認識基準で定義している契約に該当するのか」といった論点を取り上げている。

 収益認基準では契約と考えられる条件について「移転される財またはサービスに関する各当事者の権利を識別できること」など5項目を挙げているが、システム開発に特化した記述はないため判断しにくい。実務対応ではこうした収益認識基準を読むだけでは判断しにくい16のポイントを選び、「検討すべき論点」と「論点として取り上げた背景・理由」そして「実務対応案」を提示している。

 実務対応案の記載内容についてJISAの田中次長は「ITベンダーの経理担当者が集まり、なるべく現行の実務を変えずに収益認識基準が求める会計処理を実施できる内容を記載するように心がけた」と話す。

 実務対応はJISAの会員企業や、JISAの会員企業に勤務している従業員には1000円で、会員以外には1万円で販売する。