PR

発生防止策・軽減策

(1)要員教育・自己啓発

 プロジェクトに参画するメンバーや管理者が、各種ハラスメントやアンガーマネージメントなどについて正しい知識と認識を持つことは極めて重要です。自分がハラスメントをする側にならないように、あるいはされる側や見かける側になったときに正しく行動できるように、各メンバーが知識を身につけるための手段を講じましょう。

(2)相談窓口の明示

 最近では、社内・社外の相談窓口を設置している企業が増えています。しかし、それで十分とはいえません。メンバーによっては、公式な窓口に相談するのはハードルが高いと感じる人もいるでしょう。上司から部下へのかなり明確なハラスメントでなければ、相談する気になれなかったりします。

 特に発注者である顧客との関係においては、自らの至らなさにも原因があるという思いから、真面目で誠実なメンバーほど、相談をためらっているうちに傷口を広げてしまうことがあります。

 直属の上司が当事者なら、社外窓口なども有効ですが、顧客や協力会社、同僚などとの関係に問題が出てくる場合、もっと身近に接しているPMや上司、営業担当者などが窓口として機能することも重要です。

おたくなんか信用できない

 大村専務は、腕組みをしたまま厳しい声を出した。

「御社からは協力の姿勢が感じられません」

 PMの吉倉保は、突然出てきた強い言葉に、目をぱちくりさせた。今日のステアリングコミッティーの主要議題は、稼働までのスジュール見直しだ。しかし、開発の遅れはベンダーである吉倉の会社だけの責任によるものではない。発注者である大村工業の利用部門にも、仕様確定と検証準備を遅らせてしまった責任がある。少なくとも、吉倉はそう考えていた。

「あのう。どういうことでしょうか」

 吉倉の問いに、大村専務は間髪入れずまくし立てた。

「これまで何度も、立て直しの策を提案してくださいとお願いしてきたはずです。このプロジェクトは、中期3カ年計画の一部で、我々にとって非常に重要なものだ。それなのに、御社から出てくる案といえば、スケジュールの見直しと追加コストの要求ばかりじゃないですか。御社にも、プロジェクトを着地させる責任があるんじゃないですか?ただ開発して、導入すればそれでおしまいというのが御社のお考えですか?」

 吉倉は唇をかんだ。

「当然、導入するだけで責任を果たせるとは思っておりません。御社のビジネスに役立てることが…」

 大村専務は手を振って、吉倉の言葉を遮った。

「だったらどうして、パッケージの仕様だからカスタマイズできないとか、運用で回避するしかないとかおっしゃるんですか?それに、どうして今になって、経理連動インターフェースの変更なんて話が出てくるんです?経理連動のことは、要件定義のときから分かってたでしょう?」

 吉倉は、平静な口調を保とうと心掛けた。

「経理連動インターフェースについては、もともと、連動ファイルのレイアウトが明確になればパッケージ基本機能で対応できる前提でした。しかし、ヘッダーレコードとフッターレコードが必要だということが先週分かったので…」

「だから何なんです?経理システムの資料は要件定義のときにお渡ししてるじゃないですか」

「それは…」

 吉倉は口ごもった。資料を受領していたのは事実だ。しかし、現行システムの仕様については顧客から明確に提示するという約束でもあったのだ。

「とにかく、御社からは、こうすればできるというスケジュール短縮や機能面のご提案を頂きたかった。この際だからはっきり申し上げます。我々に協力してくれる気もないのに費用の話ばかりされるのであれば、もう御社とは仕事ができません」

 大村はそう言って、吉倉をにらみつけた。