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鎮火法

 鎮火の初動には、図2に示す大きく3つの対応が重要です。順に説明しましょう。

図2●鎮火の初動対応
図2●鎮火の初動対応
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(1)改善を宣言する

 事例のような状況が発生していたら、改善が必要です。しかし、当事者であるプロジェクトメンバー自身に、現状に対する問題意識が欠けていることも多いでしょう。例えば隈本PMには、テスト環境決定という課題に真摯に取り組んでいる自分が、マスタースケジュールの策定と合意という最重要の役割を放棄しているという自覚がないかもしれません。

 当事者が役割を自覚していないことが最大の問題なのですから、誰かが「役割定義が曖昧になってプロジェクトが迷走しているので、改善しましょう」と宣言して、関係者を覚醒させる必要があります。

(2)ニューフェースを投入して風を入れる

 改善の動きを作り出すには、ニューフェースを投入するのが効果的です。事例の城野課長のようなラインマネジャーでもいいですし、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)や品質保証の担当者でも構いません。時には、生きのいい生意気なSEが役に立つこともあります。

 問題を自覚していないチームに自浄作用は期待できませんし、隈本PMや友野PLのような個々のメンバーがそれまでの職歴の中で慣れ親しんだやり方を変えるのは、何かきっかけがないと簡単ではありません。従って、誰か少し「外部っぽい」立場の人をあえて連れてきてプロジェクトに新しい風を入れることが、動きを作り出すのによい方法なのです。

(3)窓口を絞って当面の役どころを明確にする

 全てのあるべき役割を一度に整備しようとしても混乱する可能性が高いですから、まずは重要度に応じて役割定義を明確にしていきましょう。あまり自覚のないメンバーにとって分かりやすいのは、「窓口を絞る」という言い方です。例えば変更管理なら、顧客責任者とPMを窓口にして、全ての要望や変更依頼はこの窓口を通す、といったシンプルなルールを徹底します。

 最終決定にはオーナーの承認を要する、とするのも効果的です。例え形式的であったとしても、プロジェクトの公式決定の要件を定めて意思決定がバラバラになされないようにします。情報が責任者に集中することで、役割の自覚を促す効果もあります。

 オーナーによる最終承認などの形式を整えておけば、事例の黒田部長のような「見えないステークホルダー」の動きも牽制できます。見えないステークホルダー自身を公式な承認者として定義して、見える場所に引っ張り出すのも効果的な方法です。

 進捗管理についても同様で、例えば進捗状況や遅延対策、見通しに関する問い合わせ窓口をPLに集約します。上位職や顧客に対して説明が必要なら窓口から説明する、といった形で責任を明確にするのです。

 理屈から言えばPMに集約するのが筋かもしれませんが、そこは状況に応じて判断するのがよいでしょう。PLのマネジメント意識が薄いのなら、そこを強化するところから入ればよいし、PLがしっかりしていてPMが弱いなら、そちらを強化することを優先する、といった感じです。

 いずれにしても、誰が何に責任を負っていて、その領域について把握・説明・調整をするのは誰なのか、という部分をクリアにするとよいでしょう。