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導入範囲・部門

 特定の部門で小規模に導入する場合と、全社的に大規模に導入する場合で注意点が異なります。このため、全体計画のときに導入範囲と部門をきちんと定義しておきます。

 小規模に導入する場合は、事業部門が主導で導入を検討することが多いです。ただ、導入主体が事業部門であったとしても、準備フェーズの段階で全社横断的な部門、例えば経営企画部門やデジタル化推進部門、情報システム部門などが関与すべきでしょう。

 情報システム部門などの全社横断組織が存在しない場合や、あってもガバナンスが弱い場合は注意が必要です。そうした場合は、ロボットの運用でトラブルが起こったときのサポートが手薄になったり、社内で同じようなロボットが大量に作られたりします。さらに、同じ会社なのに異なるRPA製品が使われ、コスト効率が悪くなるケースもあります。こうした事態を避けるために、全社横断組織の協力を取り付けましょう。

 一方、大規模導入のパターンでは、検討規模が大きくなるため、準備に時間がかかりがちです。全社的に導入するため、必然的に情報システム部門や経営企画部門など全社横断的な組織が推進することになるので、事業部門が知らない間にRPA導入の計画が進むこともあります。このような場合、RPAの導入を検討する組織と、導入される現場の認識のギャップが問題になる場合があります。

 要するに、現場の担当者が「ろくに業務を知らないくせに勝手に話を進めて」と反発してしまうわけです。こうなると、ただでさえ検討に時間がかかる全社導入に、さらに余計な労力と時間を要することになります。

 こうなることを避け、導入のスピードを速めるためには、導入目的と意義をきちんと現場に発信することが重要です。推進チームには現場に不信感を抱かせないような丁寧な対応が不可欠です。

対象業務

 前回解説した通り、RPAに向いている業務と向いていない業務があります。向いている業務の条件は「定型業務であること」「業務の変更が少ないこと」「人の判断が不要なこと」「自動化の効果が大きいこと」などです。加えて、業務上の影響とリスクを考慮する必要があります。例えば、いきなり社外向けの業務にRPAを適用するのはリスクが高いかもしれません。まずは社内の業務に適用してロボット作成や運用のノウハウを蓄積してから、よりリスクの高い社外向け業務に対象を広げるとよいでしょう。

推進体制

 新規にRPAを導入する場合には、誰がどのように関わる必要があるか明確にしておく必要があります。また、このときRPA導入後の運用・管理の体制も併せて考えておくとよいでしょう。導入はうまくいったものの、運用に入った段階で手間取る、といった事態を避けることができます。

 表1に一般的なRPA化の検討推進体制を示します。ここでは「推進メンバー」「主な役割」「主な部門」で整理しています。

表1●RPA化の検討推進体制の例
表1●RPA化の検討推進体制の例
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 推進メンバーは、必要な役割を考えると必然的に決まってきます。例えば、「承認者」はRPAを導入するかどうかの最終判断を行うという役割が求められるため、経営トップや部門のトップが適任です。

 実際にロボット(シナリオ)を作成する「開発者」は、事業部門の担当者であったり、ロボットを作成する社内専門チームの人であったりします。ロボット開発に外部業者を利用する場合は、「パートナー」として分類しておくとわかりやすいです。推進メンバーの中で、開発・運用時のルールを定める「管理者」を置くことは非常に重要です。管理者がルールを決めることで、ロボットの導入と活用がスムーズに進みます。

投資予算

 導入プロジェクトですので、当然ながら投資予算を決めなければなりません。RPA導入には、一般に、RPAのソフトウエア(ライセンス)、ハードウエア、開発費(人件費)などの費用がかかります。ソフトウエアのコストは導入規模や購入するRPA製品によってかなり差があります。安いもので年間数十万円。高ければ1000万円程度になります。製品によって年間や月間のライセンス契約で利用する製品のほか、利用ライセンスを買い取れる製品もあります。

 机上検証やPoCによりRPA導入後の効果をコスト換算し、投資がコストに見合っているか見極めます。全体計画策定の段階では、効果試算の方法や、投資対効果の判断基準などを定めておきましょう。