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製品の選定

 RPA導入を検討する際、悩ましい問題の1つは、RPA製品の選定です。特に初めてRPAを導入する人にとっては、何を基準に選べばよいか迷うところです。選択肢が多すぎて、かえって選ぶのが難しくなっているのです。前回紹介したメジャーな製品以外にも、非常にたくさんの製品が登場しています。インターネットで少し検索すれば、様々な製品の情報を簡単に得られることでしょう。

 ただし、製品を説明するWebサイトには、開発元の企業がアピールしたい特徴、つまり「できること」はたくさん書いてありますが、逆に「できないこと」はほとんど書いてありません。また、動作上の様々な制約事項などをWebサイトなどから知ることは非常に難しいです。さらに海外製品では、製品自体の日本語化が進んでいるとはいえ、詳しい説明が英語しかない場合もあります。

 製品を選定する際のポイントは、実際に触ってみることです。上述の2つめの事例では、製品を実際に試してみることなく、実際の購入を決めてしまいました。その結果、シナリオ作成に苦しんだのです。無料トライアルサービスを提供している製品は多いので、購入を決定する前にぜひ使ってみましょう。

 複数の製品を実際に使ってみると、製品ごとの特徴を比較できるだけでなく、RPAに対する本質的な理解を深めることができます。自社の対象業務を思い浮かべながら、どの製品が業務と最も相性が良いかをよく吟味しましょう。特にコストを重視して製品を選ぶ際は注意が必要です。低価格の製品の中には、当然あると思っていた機能がなかったり、使い勝手が悪かったりするものが少なくありません。

導入後の保守・管理体制

 表1で示した通り、RPA導入検討時には「管理者」を置き、ロボット開発時のルールを定めることが重要です。同様に、RPA導入後も一定のガバナンスルールの下で運用される必要があります。導入後の保守・管理体制の中心となるのは、情報システム部門か、RPA管理の専門チームです。

 導入後に必要となるガバナンスルールの例として、「ロボットが正常に動かなくなったときの対応の仕方」があります。誰がどう対応するか、どのように記録を残し、誰に報告するか、などのルールを明示的に定めておくべきです。また、こうした運用時に起こったことについての情報を蓄積すれば、将来のロボット開発に生かせます。運用時の情報を記録し共有するための仕組みも併せて整備しておきましょう。

 ロボットの数が多くなってくると、ロボットを管理すること自体にそれなりの手間がかかります。特に、現場主導で運用している場合は、時間の経過とともに管理がルーズになっていきがちです。しっかりした管理体制の下で集中管理したほうが効率的です。

 集中して管理することは、セキュリティーを確保する観点でも有利です。例えば、OSやセキュリティー対策ソフトのアップデート状況を集中的に把握しておくことは重要です。

■参考文献
[1]西村泰洋、『図解入門 最新 RPAがよ~くわかる本』(秀和システム、2018)
[2]西村泰洋、『絵で見てわかる RPAの仕組み』(翔泳社、2018)
鞆谷 幹(ともたに みき)
富士通 フィールド・イノベーション本部 金融FI 統括部 シニアマネージャー
金融機関や社会基盤企業の業務改革に従事。業務現場の課題を定量的に分析するとともに、施策を立案して改革の実行を支援する。現在はRPAやAIの導入案件を多く手掛けている。