PR

 図5の文章では、コンテキストは「目的」という見出しで、①~③の文によって記述している。まず、①では解決したい問題を示し、その対応策を示すことを文章の目的として明示している。

 続く②と③で、提起した問題を理解するのに必要な業務全体の流れを説明している。最初に②で基本的な見積もり依頼の作業の流れを、③で他システムへの影響見積もり依頼が発生する流れを説明している。この後に①の文を繰り返している。込み入ったことを理解した後に何の話だったのかを忘れる人が多いため、重要なことなので念を押している。

 根拠と主張/結論の説明順序は、一般的にはどちらを先にしても構わない。ただし業務上の文章においては、結論を先に記述することが推奨されるケースが多い。結論が先に書いてあれば、後半を必ずしも詳細に読み込まなくてもよい場合もあるため、業務上のコミュニケーションを効率化できるからだ。

 ここでは、先に結論を示す。「結論」という見出しで、2つの対応策を示している(④)。それぞれの内容の説明に加えて、対応策2は対応策1の実施が前提となっていることを記述している。

 最後に「検討内容」という見出しで、根拠を説明する。基本的には、問題の原因を明確にしてそれに対して手を打つという考え方になる。まず、⑤で原因には大きく2つあることを示し、続く⑥で1つ目の原因を解決する対応策1を示している。

 次に2つ目の原因と対応策を示したいところだが、これは業務の流れにおける、見積もり依頼資料、見積もり結果資料、影響見積もり依頼資料の関係が分からなければ理解できない。そこでこれらを⑦で説明している。その上で、⑧で2つ目の原因にはより本質的な原因が2つあることを示し、最後に⑨で対応策2を説明している。本質的な原因の1つは、対応策1で解決できると想定していることも併せて説明している。

構造を順序立てて説明する

 組み立て直した図5の文章が、図2と図3の構造を網羅的に説明していることを確認してほしい。全体の構造を順序立てて説明することで、文章を組み立てることができるのだ。

 分かりにくい文章をレビューすると、その文章をどのように添削すべきか頭を抱えることがある。このとき、文単位で修正してもきりがなく、完全に書き直さなければならないことがある。そんなときには、これまでの連載で説明してきたように、いったん元の文章の構造を分析して、意図の理解を試みてほしい。

 構造の分析によってその文章の意図を深く理解できれば、その理解を明確に表現するための文章を書き起こすことで、元の文章の抜本的な修正が可能になる。

 ダメな文章を修正すると、文章量が増えることが多い。今回の例でもそうだが、本来複雑な話であるにもかかわらず、説明を省いていたということにほかならない。説明すべき前提が省かれているため分かりにくくなっている例は非常によく見られる。注意してほしい。

林 浩一(はやし こういち)
ピースミール・テクノロジー株式会社顧問
林 浩一(はやし こういち) 富士ゼロックス、外資系データベースベンダーを経てウルシステムズに入社。自治体・大企業のシステム内製化とPMOに特化した関連会社として同社を設立、初代社長に就任。現在は顧問。資料作成スキル向上による技術者や研究者の戦力アップの手法を提唱。展開のためのサイト「勝負ドキュメント作成講座」を運営。