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 今回は最近、筆者に起きたちょっとした事件性のある出来事について紹介する。事件性と書いたように少々リスクがあるかもしれない内容なので、具体名などはぼかすことをお許しいただきたい。

 ある日、東南アジアのSNS友達であるAさんから英文のメッセージが送られてきた。「自分が知っている会社が、日本向けの詐欺サイトを運営している。告発したいから日本の警察の連絡先を教えてほしい。自分は以前に日本で働いていたことがあり、好きな日本のために何かできないかと思う」という内容であった。

 筆者はAさんとリアルに対面したことはない。今ならば見知らぬ人からの友達申請は絶対に受けないが、8年以上前のSNS開始初期の頃に最初に送られてきた外国人からの申請だったので、受諾したのだった。AさんはSNSのマナーも良く、やり取りも「いいね!」や簡単なコメント、誕生日メッセージくらいだったので、友達関係を続けてきた。その関係で先のメッセージが届いたので驚いたのだ。

 何度かメッセージをやり取りすると、どうやらガセネタではなく、本物の情報ではないかと思うようになった。告発内容はフィッシング詐欺であった。Aさんが相談してきた内容は具体的でありながら大袈裟ではなく、状況が分かりやすく書かれ、また画像も添付されていた。その画像にあった日本の電話番号を調べてみると、様々な詐欺で使用されているいわくつきの番号であった。

 筆者はAさんにまずは日本大使館に相談したらどうかと伝え、また筆者も在某国日本大使館にメールを送った。日本大使館の見解は「この会社は日本の会社ではなく、また日本人オーナーでもないため、日本大使館としては対応できない。Aさんに地元の警察に相談するように伝えてください」というものであった。日本向けのフィッシング詐欺サイトをやっていても、大使館は何もできないのである。Aさんの国は治安があまり良くなく、警察も当てにならない。もし告発したことが会社にばれると、身の危険があるため、不用意に地元警察に相談できないのだ。

 そこで筆者はこのフィッシング詐欺の対象となっている世界中誰もがその名を知っている某超大手IT企業の日本法人に連絡を取ることにした。この大手IT企業には知人がいたので、相談すると法務部門が運営する詐欺被害告発サイトから連絡を取るのが正規ルートと教えられた。

 そのサイトに行って筆者の氏名と連絡先を明記した上で「対面したことのない外国人からの情報なので、誤報かもしれないが念のためお伝えしたい。貴社の名前を語った日本向けのフィッシング詐欺を運営している会社が某国にあり、その会社や首謀者の具体的な情報を提供できるかもしれない。情報提供者とのやり取りを全て公開する用意もあるので、相談に乗ってほしい」という内容のメッセージを送った。しかし1週間たっても、回答はおろか、筆者のメッセージ受領の返信すらない。

 どうやらフィッシング詐欺対策には国も当事者大企業も当てにならないらしい。インターネット利用者自らが用心して、自己責任で対処するしかなさそうだ。

永井 昭弘(ながい あきひろ)
イントリーグ代表取締役社長兼CEO、NPO法人全国異業種グループネットワークフォーラム(INF)副理事長
永井 昭弘(ながい あきひろ) 日本IBMの金融担当SEを経て、ベンチャー系ITコンサルのイントリーグに参画、96年社長に就任。多数のIT案件のコーディネーションおよびコンサルティング、RFP作成支援などを手掛ける。著書に「RFP&提案書完全マニュアル」「事例で学ぶRFP作成術 実践マニュアル」(共に日経BP社)がある。