PR

IoT(インターネット・オブ・シングス)に取り組む企業が増えている。IoTの導入が進むとデータ量が増え、通信や処理速度がネックになり始める。こうした問題を解決し、本当に使えるIoTを目指して導入が進むのが、現場に近い環境でデータ処理を実施するエッジだ。エッジは一体、どのように利用するのか。その正体を探る。

 「IoTの実現にエッジ(エッジコンピューティング)は欠かせないが、重要性を分かっている企業はまだ少ない」。ガートナージャパンの田﨑堅志リサーチ&アドバイザリ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティバイス プレジデントはこう強調する。

 エッジはセンサーやデバイスなどからのデータを、発生した現場に近い場所で処理する考え方だ。「自動車の自動運転のように、リアルタイムの反応が必須の場合など、エッジはIoTに欠かせない存在になってくる」と田﨑氏は説明する。

 実際にエッジを活用したIoT関連のサービスも登場している。その1つが、建設業向けのIoTプラットフォーム「LANDLOG」だ。LANDLOGはコマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムの4社が共同出資した企業ランドログが提供している。

 LANDLOGは工事現場から得たデータを使って、建設業の生産性向上を支援するクラウドサービスだ。重機の使用状況や進捗の管理といった様々なアプリケーションを、IT化が遅れがちだった建設事業者向けに提供する。

 LANDLOGが提供するサービスの1つに、ドローンで撮影した工事現場のデータ提供がある。「毎日、工事の開始前と終了時に現場を撮影することで、工事の進捗を可視化する」とランドログの二上将直チーフテクノロジーオフィサー(CTO)は説明する。

 LANDLOGではドローンで撮影した画像の処理を、工事現場に設置したエッジ専用のハードウエア「EdgeBox」で行う。ドローンで撮影する写真は1枚当たり2メガ~3メガバイトあり、1回の飛行で100枚以上を撮影する。工事現場では、必ずしも高速なインターネット回線があるわけではなく、300メガバイトの写真を工事開始時と終了時の1日2回送るのは現実的ではない。

 そこでLANDLOGではEdgeBoxで画像を3Dデータに変換し、データ容量を50メガ~100メガバイトに圧縮して携帯電話回線で経由でクラウドに送信する処理をしている。2018年5月から限定的に提供を開始した(図1)。

図1●LANDLOGのエッジ活用の例
図1●LANDLOGのエッジ活用の例
ドローンで撮影した画像の処理、クラウドへの送信の役割をエッジが担っている
[画像のクリックで拡大表示]

3Dデータをその場で作成

 EdgeBoxはNVIDIAのGPUと画像処理ソフトを搭載し、ドローンで撮影した写真を点群と呼ばれる3Dのデータに変換している。

 これまで工事現場の点群データを作成する場合、位置情報を正確に取得するためのマーカーを置いたり、専門の技術者を呼んだりする必要があった。点群データの作成は高額になりがちで、多くの現場では工事の最初と完了した時点のみにとどめるケースが多かった。そのため日々の工事の進捗は、トラックの台数から運び出した土の量を推定し、進捗を予測していた。

 これに対しドローンとEdgeBoxを使った処理では毎日、工事の進捗を3Dデータで記録できる。誤差は10センチメートル程度。マーカーを使った場合の誤差である2~3センチメートルより劣るが、大規模な工事現場の進捗管理では問題にならない程度の誤差だ。

 EdgeBoxにはGPUやソフトウエアのほかにも、点群データを作成すための機能が多く詰まっている(図2)。

図2●LANDLOGのエッジコンピューティング専用機「EdgeBox」
図2●LANDLOGのエッジコンピューティング専用機「EdgeBox」
ドローンとセットで顧客に貸し出す
[画像のクリックで拡大表示]

 その1つが測定の誤差を減らすためのGNSS(衛星測位システム)のアンテナだ。256ギガバイトのSSDや、SIMカードのスロット、LANやUSBのポートなども用意している。

 また工事現場という過酷な状況での利用を想定し、防水防塵仕様のハードウエアを特別に開発した。持ち運びしやすいように取っ手が付いたり、測量用の三脚に乗せられるように底部にねじ穴が開いていたりと、「現場で利用することを前提に、できる限りシンプルな作りを目指した」(二上CTO)という。

 「今後、リアルタイムのレスポンスが必要になる場合にもエッジの活用を考えていきたい」とランドログの平岩浩之チーフインフォメーションオフィサー(CIO)は強調する。

 以降は、必要な機能や導入時の注意点など、ITエンジニアがエッジの導入を手掛ける際に知っておきたいポイントを解説する。

この記事は有料会員限定です

「日経SYSTEMS」定期購読者もログインしてお読みいただけます。

日経クロステック有料会員になると…

専門雑誌8誌の記事が読み放題
注目テーマのデジタルムックが読める
雑誌PDFを月100pダウンロード

有料会員と登録会員の違い