現時点において部屋をスマート化するには、赤外線スマートリモコンを使う方法が最も現実的だろう。オンライン化されたテレビやシーリングライトを利用すればいい、と思うかもしれない。確かに通信プロトコルが公開されていれば、洗練されたスマートホームを実現できる。しかし実際は通信プロトコルを公開しているオンライン対応の家電は少ないうえ、最新の家電がすべてそろう環境はめったにない。
そこで部屋をスマート化するために赤外線スマートリモコンを利用することになる。赤外線スマートリモコンは国内で複数の製品が発売されており、筆者もそのうちいくつかの製品を実際に試してきた。専用アプリも各社それぞれ良く作られている。製品に閉じた使い方なら何も困ることはないだろう。
一歩進んで「Raspberry Pi」などを使って独自にスマートリモコンを制御したり、独自アプリに家電操作機能を組み込んだりしたい場合は、通信プロトコルが公開されている必要がある。そこで今回は、日本のNatureが開発・販売する赤外線スマートリモコンの「Nature Remo」を取り上げる(写真1)。1万円程度で入手可能だ。
Nature Remo本体の大きさはRaspberry Piと同じくらいで、この手の製品としては比較的コンパクトだ。給電はUSB、通信は2.4GHz帯のWi-Fi、そして温度、湿度、照度、人感の4種類のセンサーが内蔵されている。「Nature Remo mini」という小さなサイズの製品も販売されているが、miniは温度センサーしか内蔵されていないので注意が必要だ。
公式アプリの画面は比較的シンプルで、筆者は使いやすいと感じる(写真2)。なおアプリのエアコン操作画面には温度と湿度が表示されるが、これはエアコン本体の計測値ではなくNature Remo本体のセンサーの計測値となる。Nature Remoのアプリの大きな特徴は「ルール」と呼ばれる機能だ。多彩なセンサー情報の計測値をトリガーにして、家電操作を自動的に実行する仕組みだ。
写真3では「部屋の温度が30℃以上になったらエアコンをONにする」というルールが設定されている。トリガーの選択肢も豊富だ。アプリがインストールされたスマートフォンのGPS情報を利用して特定のエリアへの入退出を判定するトリガーや、部屋の照度、人感センサーが反応した時のトリガ―など、数多くの種類が用意されている。