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 「何か新しいことを学ぼう」と思い立ったとき、何から始めますか?人気の書籍を手に取ってみたり、目に付いたセミナーを受けてみたりする。もしくは資格取得のための教材を入手する、といったことから着手する人が多いかもしれません。しかし、場当たり的に学習を進めていては、本当にそれらが自分にとって有益なのかどうか疑問が残ります。

 いきなり学び始める前にやるべき作業があります。それは、学んだ後に自分がどのような姿になっていたいのかを明確に描くことです。「とりあえず始める」のは、貴重な時間を浪費してしまうリスクがあります。

 例えば語学を学ぶとき。国内企業で働き、時々海外企業とやりとりするレベルと、日常業務から外国語を求められる環境とでは、当然ですが学び方が異なります。身に付けた能力を使って自分が活躍するシーンをイメージすると、そこから逆算して今何を学ぶべきなのかが見えてきます。時間がない中で学びを長続きさせる原動力にもなります。

 やり方としては、4段階で何をどう学ぶかを導き出します(図1)。まずは、キャリアゴールとして、自分が将来どう活躍したいのかという「定性的無期限目標」の策定がスタートです。無期限の目標なので、あまり時間的な区切りは考慮しなくても構いませんが、目安として5年後くらいを思い描くとよいでしょう。

図1●キャリアのゴールから逆算で学びを考える
図1●キャリアのゴールから逆算で学びを考える
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 次のステップで、もう少し近い将来、3年後くらいを想定して「定性的中期目標」を立てます。5年後にそうなるためには3年後はどうなっているのが望ましいかを逆算します。

 さらに定性的中期目標は「〇〇の仕事でマネジャーに就いている」「著書を出版している」「周囲から○○として認知されている」といった感じで達成度合いを具体的に示せる状態を設定します。これが第3のステップの「具体化」です。

 最後の第4ステップとして、直近1年間では何をすべきか、仕事と学びの計画に落とし込みます。これを「短期的アクション抽出」と呼びます。仕事の経験も学びのうちですから、どんな仕事でどういった能力を獲得したいのかも含むようにしましょう。

 例えば筆者は以前、「プロを育てるプロになりたい」という定性的無期限目標を立てました。そのために定性的中期目標に「人事戦略領域のプロ」になることを掲げ、「人材戦略領域でリーダーを越えて認知される」と具体化しました。

 こうして、「人事制度や人材開発の知識と経験を得るためのプロジェクトに希望を出す」「人材戦略領域のサービスを開発する」などの具体的アクションを決めました。