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3点セットで振り返り

 振り返りの仕方には、コツがあります。基本的には「実行してみて良かったこと」と「実行してみたが悪かったこと」を洗い出していくのですが、単に列挙していくだけでは効率良く学べません。

 筆者が実行しているのは、「状況」「行動」「結果」の3点セットで事実を表現することです。要するに、「どんな状況でどう行動したからどういう結果になったのか」を思い出すのです。慣れないうちは3つを明確に区別しながら書き出すとよいでしょう。慣れてくれば文章で表現できるようになります。

 例えば、このように書き表します。

(例1)
状況:キックオフミーティングで
行動:メンバーのプロフィルを一覧にして共有したら
結果:お客様から「親しみが持てた」と言われ、立ち上がりが早かった

(例2)
状況:中間報告会で
行動:修正したスケジュール案を提示したら
結果:「うちの部門の事情を理解していない」と反対された

(例3)
状況:テスト実施時に自分の担当範囲に関するリスクに気が付いた
行動:定例ミーティング時に「関係ないかもしれない」と思いながら全体共有したところ
結果:実際は他チームにも影響が大きいことが分かり、トラブルを回避できた

 3点セットを使って、良かったことや悪かったことを洗い出したら、その文章から「マイセオリー」を導き出します。マイセオリーとは、仕事など実体験を通じて得られた独自の知見です(図2)。先の例からはこんなマイセオリーを導き出せるはずです。

図2●「状況」「行動」「結果」の3点セットで振り返り、「マイセオリー」を導く
図2●「状況」「行動」「結果」の3点セットで振り返り、「マイセオリー」を導く
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(例1)プロジェクトスタート時にはチームワークを早い段階で醸成するために、メンバーの人となりが分かるような情報を提供するとよい(プロフィル、強み診断など)

(例2)スケジュールは多くの人に影響があるので、事前確認してから共有するとよい

(例3)リスクは小さいことでも全員で共有すべき

 マイセオリーを収穫するつもりで仕事をしていると、日常の業務から学べることは実にたくさんあります。

 逆にマイセオリーを意識していないと、せっかく学びにつながる経験をしていても、忘れてしまいがちです。日々気づいたことを3点セットでメモしておき、一定のタイミングでマイセオリーとして形式知化しましょう。自分の体験から学ぶことを常日ごろから意識している人とそうでない人とでは成長に大きく差が出てきます。

清水 久三子(しみず くみこ)
AND CREATE 代表取締役社長
清水 久三子(しみず くみこ) アパレル大手を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現・日本IBM)に入社。新規事業戦略立案・展開支援などのプロジェクトをリードする。その後、プロジェクトマネジメント研修やリーダー研修など社内外の研修講師を務め、独立。著書に『ITエンジニアのための 通じる文章にする五つの力』(日経BP社)、『できる人が絶対やらない資料のつくり方』(日本実業出版社)など。