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 書籍やセミナー、研修、日々の仕事などで学んだら、その学びを次の仕事に生かせる状態にする必要があります。単純に「覚えた」「理解した」という状態では不十分です。学んだことを異なる状況でも頭の中から引き出して活用できるようにしておきます。いわばスキルや知識に再現性を持たせるのです。

 具体的に何をするのかというと、学んだことを体系的なチャートに図解してまとめます。PowerPointなどを使ってデータとして記録してもよいですし、ノートに手書きしても構いません。学んだことを図にすれば、自分にとっての理解が深まります。

 もし、図にできない部分があったとしたら、それは理解が足りていないのです。図を描いていく過程で不明点が明確になります。

 何となく分かった気になっていたことや、図に示そうとしても意外に書けないような知識は、実際の仕事ではほぼ役に立ちません。図解することで学んだことを再現性の高い知識やスキルにしていきましょう。

 「研修の講師をするわけではないから、わざわざPowerPointなどを使って図を作らなくてもよいではないか」と思うかもしれません。学びを図解しておくことは3つの意味で役立ちます。

 1つは応用力が身に付きます。図解する過程で、そのテーマの要点を深く理解するためです。一見すると異なる事象でも本質的な考え方は共通する場合があります。「以前まとめたあの考え方を使ってみよう」といったように、毎回ゼロベースで仕事の進め方などを考えるよりも、迅速に仕事に取りかかれるようになります。

 2つ目の理由は、自分以外の人の役に立つ可能性があることです。筆者は以前、プレゼンテーションのテクニックを図解しました。最初は自分のために作った図でしたが、その図のことを知った当時のプロジェクトメンバーや営業担当者などから「その図について教えてほしい」と言われました。

 図中に使う言葉などを少しアレンジしたものの、ほぼ元の図を変更せずに伝えました。自分のノウハウを図解しておいたことで、後輩の指導や別部門の人の役に立ったわけです。1度図にまとめれば、その後に何倍ものリターンを生む「レバレッジ効果」を期待できるのです。

 3つ目の理由は仕事のレベルが上がることです。先の例のように、図にすると、それまでの自分の知識やスキルを人に共有したり移転したりしやすくなります。その分、自分はよりレベルの高い仕事にチャレンジできます。