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 いよいよ本連載も最終回です。これまで具体的な学び方をご紹介してきましたが、最後はより深く、より広い学びを得るためのポートフォリオの考え方です。

 忙しいエンジニアが学ぶとき、学びの投資対効果を意識することはとても重要です。時間や費用などかける“投資”が多すぎるのは無理がありますが、逆に投資を控えすぎて得られるリターンが少なくなっては満足のいく成果に結びつきません。

 学びの投資対効果を考える際、学びのタイプを大きく「検索型」と「模索型」で捉えてみましょう(図1)。

図1●学びのタイプを大きく「検索型」と「模索型」に分ける
図1●学びのタイプを大きく「検索型」と「模索型」に分ける
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 まず検索型の学びについてです。これは形式知を学ぶものです。学ぶべき内容がはっきりとしている場合に、書籍や研修、セミナーなどを通じて学習します。

 一方の模索型の学びは暗黙知を得るものです。学ぶべきことが明確になっていない場合もあるので、自分の判断で何が重要かを見極める必要があります。

 模索型の学びの場面は、例えば社内で達人と呼ばれるようなベテランと一緒に仕事するときや、これまでに経験したことのないプロジェクトや職場環境に飛び込んだときです。達人の仕事の仕方を間近で見て覚えたり、以前とは違う役割を演じることで自分にとって新しい発見をしたりできます。

 検索型の学びは、模索型と比較するとコストや時間があまりかかりません。その半面、得られるリターンも大きいものは期待できません。ここでいうリターンとは、自分の市場価値や収入そのものを向上させるという意味です。

 検索型で得られる知識は形式知のため、すぐに仕事の役に立つでしょう。しかし自分以外の人も手に入れやすいため、陳腐化するリスクがあります。他者との差を広げにくい知識とも言えます。

 資格の取得などは、時間もコストもかかりますが、それらに比例したリターンが必ずしも手に入るとは限りません。例えば、既に多くの人が取得している資格では、自分の市場価値や収入を著しく高めるリターンは見込めないでしょう。

 資格には、はやり廃りがあります。今後、価値が伸びていく資格があれば、価値が目減りしていく資格もあります。コストに見合うリターンを得られる資格は何かを見極める必要があります。

 検索型の学びに比べると、模索型の学びはハイリスクハイリターンになります。学ぶことが具体的に決まっていないことに加え、習得するまでに時間がかかるので投資に見合うリターンを得られないリスクが高くなります。

 ただ、模索型は一見非効率的に思えるかもしれませんが、自分の実体験に基づく唯一無二の学びになるため、他の人が持っていない知見や深い学びを得る可能性もあります。その場合、他者に差を付けられる大きなリターンを手にできます。

 例えば、先人の少ない分野の仕事を担当すれば、その道の第一人者になれる可能性があります。新規性の高い仕事は往々にしてストレスが高いものですが、その経験を学びとして蓄積することは大きな意味を持ちます。

 このように、検索型と模索型の学びはそれぞれに長所と短所があります。学びのポートフォリオとして組み合わせて、投資対効果が高まるように工夫することが重要です。