調査では、COBOLシステムが企業内にあるという回答者のうち、約54%が「当面、使い続ける」と答えた。これは今でもCOBOLにメリットを感じている表れだろう。ここからは、COBOLの長所について調査結果を見ていこう。
調査では「開発言語COBOLの長所として、どのようなイメージを持っていますか」と聞いて、上位3つを挙げてもらった。図9がその結果である。第1位は「数多くの稼働実績がある」で、回答者の51.6%(696人)が長所として挙げている。続く第2位は「長い歴史がある」。37.7%に当たる508人が長所として挙げた。
これまで積み上げてきた実績や歴史が、COBOLへの支持を集めてきた最大の要因のようだ。
事実、自由記入欄にもCOBOLの稼働実績や歴史を評価するコメントが目立った。
「これまで安定した稼働実績があり、一概に不要な言語とは思えない」(40代、SE)。
「実績や歴史があり、開発標準や見積もりなどがしっかりしている」(50代、プロジェクトマネジャー)。
「長い歴史がある言語で古いという印象を受ける。しかし、長く生き続けたのはそれなりの理由がある。『古い=悪』という解釈に疑問を感じる」(40代、社内SE)。
COBOLの実績や歴史を評価する声はユーザー企業、IT企業を問わず多かった。60年の歴史があれば当然といえば当然だ。重要なのは、その理由である。そこで、ユーザー企業とIT企業に分けて、分析した。
その結果、ユーザー企業で長所として挙げた回答者が多かったのは「安定性・堅牢性に優れている」で、35.7%(146人)を占めている。全体順位では第3位だが、ユーザー企業に絞って見ると、第2位に浮上した(図10)。
コメント欄を見ても、COBOLを使ったシステムの安定性・堅牢性を評価する声が多い。
「自社のシステムではCOBOLが現役である。長く安定稼働している実績があるので、今後予定されている移行計画は不安が大きい」(50代、システム運用/サポート)。
「安定して稼働し、習得が容易というメリットに対して、稼働するホストシステムが高価というデメリットがある」(40代、社内SE)。
「金融機関でCOBOLの社内教育をしている。長く安定稼働しているCOBOLシステムは今後も継続して利用され、なくならないだろう」(50代、社内SE)。