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有効求人倍率が7.75倍になるなど、IT人材不足が深刻さを増している。レガシーシステムの継承やデジタル化の推進など、役割拡大が一因だ。人材像や組織体制の明確化など、IT部門主導の戦略が求められてきた。

 「デジタル化に取り組みたいが、肝心の人がいない」―こうした悩みをIT関係者から聞く機会が増えている。IT人材が不足しているという課題は想定以上に急激なスピードで深刻化している。人事部門に採用のリクエストを再三出しても音沙汰なし、パートナーに声をかけても「人が出払っている」と、積極的には取り合ってもらえない。

 ガートナージャパンは「2020年末までに、日本のIT人材は質的に30万人以上の不足に陥る」という展望を2017年1月に発表している。こうした展望は現実のものとなりつつある。パーソルグループが提供するエージェントサービス「DODA」の最新データによると、IT/通信系の人材の有効求人倍率は7.75倍にまで引き上っている。市場全体の有効求人倍率は2.40倍なので、IT/通信系人材のひっ迫が際立つ。

IT人材不足の課題構造

 人材不足を生み出している要因は、いくつか考えられる。

 まず、ビジネス環境のデジタル化に伴い、IT投資の重要度が一気に上昇していることが挙げられる。2018年1月に電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した「2017年 国内企業のIT経営に関する調査」によれば、IT投資が「増加傾向にある」と回答した企業は2013年の40%から52%へと12ポイント上昇した。

 米国では2013年時点で80%の企業が増加傾向にあると回答していたが、遅まきながら日本もこのトレンドに追随しつつある。各企業のプレスリリースに「クラウド」や「○○Tech」の文字が躍る頻度も目に見えて高くなってきた。しかし、予算が増えるスピードに、肝心の予算執行するための人材数が追いついていないのが現状である。

 IT人材の「役割」が増えているのも人材不足の一因だ。レガシーシステムの大規模刷新と運用保守がメインだった時代から、Webシステムの隆盛を経て、現在はAI(人工知能)やビッグデータなどのデジタル技術がビジネスを牽引する時代となっている。社内外のサービスを活用し、デジタライゼーションを担える人材が求めらてきた(図1)。

図1 IT人材が担うべき役割
図1 IT人材が担うべき役割
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 それに合わせて、多くの企業ではレガシーシステムのモダナイズが急務である。保守運用を効率化したうえで、分析データの整備やマネジメントも進めなければならない。ワークスタイル変革の必要性が叫ばれるなか、ITによる生産性向上への期待も大きい。クラウドを中心としたデジタルツールの導入のリードも求められている。さらに、セキュリティの脅威への対応も年々重要になっている。

 IT人材を活用する「場」も急拡大している。ひと昔前は、IT人材は主にベンダーに所属し、一般企業のIT部門には少数の人員が配置される、という布陣が常識だった。現在は、コンサルティングファームやスタートアップ企業に属しているIT人材が急増している。

 ベンダーは自社プロダクト・サービス開発などの多角化に伴い、社員数を増やしている。一般企業の内製化が進み、IT組織の拡大が目立ってきたのに加え、各ビジネス部門がビジネスのスピード向上のためにIT人材を抱えるケースも増えてきた。IT人材の数自体は2018年までは緩やかにではあるが増えているのだが、この需要の広がりに供給がついていけなくなっている(図2)。

図2 IT人材が直面する変化
図2 IT人材が直面する変化
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 このように、IT人材不足は構造的な課題であり、短期的には解消することは難しい。