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人手不足の解消策として、シニアSEの活用に目を付ける企業が増えている。60歳の定年後も活躍次第で現役並みの報酬を得られる。そんな人事制度をSCSKが導入。60代社員のモチベーションを高めようとしている。シニアSEが活躍する方法はいくらでもある。

 人手不足が深刻化する中、中高年ITエンジニアの再戦力化に企業が注力し始めた。経験豊富なうえ、人数が多いからだ。再び前線で活躍できるようになれば、人手不足解消の突破口となる。

 中高年ITエンジニア自身も活躍の場を求めている。年金の受給開始年齢が65歳になるうえ、政府の一部ではさらに68歳まで引き上げる案も出ている。活躍の場を得て、長く稼ぎ続けたいと考える人は多い。

 本誌は、45歳以上のエンジニアを「シニアSE」と定義した。今や日本のIT産業を支える主力人材だ。ただ、シニアSEの中には十分なパフォーマンスを発揮できなくなっている人も多い。モチベーションが低下していたり、成果に結びつく仕事の優先順位付けやスキルアップの方法を見失っていたりするからだ。原因は本人の場合もあれば、職場や会社といった環境の場合もある。先進的な企業では、シニアSEの再戦力化を阻害する要因を取り除く施策を始めている。

 SCSKは2018年7月に「シニア正社員制度」を導入した。60歳の定年を迎えた社員に65歳までの継続雇用を約束する。さらに、評価や専門性に応じて賞与を加算する(図1)。評価は4段階で、最低評価だと加算はゼロだが、最高評価では300万~450万円のプラスとなる。専門性による加算は社内資格に応じ、最高位だと40万円となる。60代でも、活躍すれば現役並みの年収を得られる。

図1●SCSKは活躍する60代SEを現役並みに処遇
図1●SCSKは活躍する60代SEを現役並みに処遇
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 背景には、60代のモチベーションの低下がある。定年後の社員を1年ごとに契約更新して、65歳まで再雇用する制度は以前からあった。だが、60代のシニアSEが得られる報酬は現役時代の半分程度。しかも、活躍してもしなくても報酬は変わらなかった。仕事を頑張るモチベーションが湧かず、補助的な業務に移りたがる人が多かったという。

 同社の和南城由修人事企画部副部長は「SEやプロジェクトマネジャー、商談責任者など定年前と同じ仕事を担い、65歳まで全力疾走してもらいたい」と、新制度を導入した狙いを話す。

個人面談で挑戦を後押し

 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は、管理職ではない50代社員の再戦力化に取り組んでいる。同社は約6000人の社員のうち50代が約2000人を占め、年を追うごとに社員の平均年齢が高まっている。一方で、管理職ではない50代社員では低い人事評価が目立ち始めていた。

 浅井公一ヒューマンリソース部人事・人材開発部門担当課長は「当初はモチベーションの低下が要因と考えていた」と明かす。だが、調査をしてみると、50代非管理職の7割はモチベーションが高かった。評価が低い原因は、仕事の優先順位付けやスキルアップへの取り組み方にあった。「50代になると、その社員の仕事のやり方に周囲が口出ししづらくなる。その結果、社員がやっていることと、上司が求めていることが一致しなくなっていた」(同)。

 この問題に対して打った手は、浅井担当課長による個人面談だ(図2)。対象は50歳に到達した非管理職全員で、毎年180~250人と面談しているという。面談では各個人にキャリアの悩みや挑戦したいことを話してもらい、どうすれば成果を出せるようになるかを一緒に考える。

図2●NTTコムは面談でシニアSEを活性化
図2●NTTコムは面談でシニアSEを活性化
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 浅井担当課長は「エンジニア職では、スキルの陳腐化が最も多く聞く悩みだ」と明かす。そうしたシニアSEは、新技術で若手や中堅に太刀打ちできないと尻込みする傾向があるという。「古い技術に固執しても成果を出せない。『最先端のビリでもいいじゃないですか』と挑戦を後押しする」(同)。

 こうした施策の結果、50代社員の上司の8割は「50代社員がポジティブに変化している」と評価するようになった。成果を出す50代社員も増え、主査から課長などといった昇格を果たした50代社員は個人面談を始める前の3倍に増えた。