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デジタルトランスフォーメーション(DX)のプロジェクトには相応の進め方がある。特に「プロジェクトの内容」「採用技術」「体制」は基幹系システムの開発とは大きく異なる。プロジェクトマネジャーは違いに留意する必要がある。

 最新技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むプロジェクトが増えています。DXという言葉にはさまざまな解釈がありますが、一般的には、デジタル活用によって既存の事業モデルを根本的に変えるような取り組みを指します。人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)などを用いて新たなサービスを生み出したり、既存事業の収益構造を変革したりするものです。

 新たなシステム開発を伴うDXプロジェクトには成功事例も出ていますが、苦戦している企業も多数あります。「PoC(概念実証)ばかりで具体的な成果が出ない」「手掛けているのは一部の部門だけで、全社的な取り組みにつながらない」という声も多く聞かれます。ITベンダーなどDXプロジェクトを受託する側としても、DXをリードできる人材がいない、どう進めたらいいか分からないという課題を抱えている会社が多いのではないでしょうか。

 従来、多くのITベンダーは、基幹系システムなど業務システムの開発を通じて成長してきました。しかし、基幹系システムの開発プロジェクトと、DXプロジェクトでは多くの点が異なります。その違いを踏まえずに、基幹系システム開発プロジェクトと同じ進め方をすると、DXプロジェクトはうまく進みません。

 筆者はプロジェクトマネジメントのプロとして、複数企業のDXプロジェクトの運営を手掛けてきました。それ以前は基幹系システムの開発にも携わっていましたが、DXとの違いを痛感しています。

 これまでの筆者の経験を基に、DXのプロジェクトマネジャー(PM)やリーダーが、プロジェクトをうまく進めるポイントを解説します。

基幹系システム開発との3つの違い

 基幹系システム開発とDXの違いはいろいろありますが、筆者がプロジェクトの推進に大きく影響すると感じているポイントは3つあります。「プロジェクトの内容」「採用技術」「体制」です(図1)。

図1●基幹系システム開発とDXの違い
図1●基幹系システム開発とDXの違い
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 このうちITベンダーなどDXプロジェクトを請け負う側が押さえるべき最も重要なポイントは、「プロジェクトの内容」における「要求・要件が決まっていない」点です。これは「正解がない」ことを意味します。

 従来型システム開発を請け負うITベンダーの思考では、どうしても顧客であるユーザーに対して「要件を出してください、決めてください」といった態度で接しがちです。これまでは業務要件という正解があったのでそれでもよかったのですが、DXプロジェクトではユーザーも「何をやりたいかと言われても、よく分からない」のが本音です。

 AIなどを活用した新しいビジネスやサービスを作るわけですから、明確な答えを持っているユーザーはまれです。手探りで仮説を決めて、まず世に出して人々の反応を見るしかないのです。

 このため、DXプロジェクトで開発チームのPMやリーダーに求められるのは「ユーザーと一緒に要求や要件を決めていく」姿勢です。ユーザーのビジネスとAIなどの技術の両方を踏まえたサービス内容を提案する必要があります。