PR

Question

 例年、有給休暇を使って夏休みを取らされます。しかも取得できるのは8月の第2週か第3週だけ。この時期は電車がすいていて電話も少なく仕事がはかどります。また有給休暇をためていて、強制的に消化されるのも困ります。こうした不満を会社にぶつけても構わないでしょうか。

Answer

 今後、このような相談が増えてくるかもしれません。というのも、国が有給休暇の取得率を向上させるための指導を強めているからです。取得率を高めるために、夏休みを有給休暇の計画的付与としているIT企業も多いようです。

 働き方改革の気運が高まる中、2019年4月から有給休暇の取得義務化が施行されます。会社も対応に迫られるので、さらに休暇取得の勢いは加速すると思います。

 今までのように、休暇取得は社員任せ、あるいは多忙な社員は有給休暇すら取れない、といった事態は無くなります。一方で、自由に休暇を取得できる社員は「放っておいて」と思う人が少なくないでしょう。

「計画的付与」は違法なのか

 質問者が不満を抱く「計画的付与」は問題なのでしょうか。結論から言うと、違法ではありません。ただし、計画的付与を行っている会社の社員は日程を選べる「自由枠」が減り、不満を持っているかもしれません。

 そもそも計画的付与の導入に当たっては、労使協定の締結と就業規則への追記が必要です。これらがなされていない場合は、会社に申し出てもよいでしょう。

 会社が計画的付与を行うパターンは、大きく次の3つがあります。

 1つは会社が一斉に付与するパターン。例えば年末の休みを1日増やすために、12月最終の勤務日を休暇とする形態です。夏休みの一斉休暇も同様です。

 2つめは交替制付与です。質問者のように夏休みは8月の第2週を休ませるAパターンと、第3週を休ませるBパターンとし、社員が交替で長期休暇を取得します。

 3つめは個人別に付与するパターン。会社がまず取得日数と期限を指定します。その上で社員が、期間内に決められた日数分の休日を登録して消化します。社員は誕生日や、お子さんの入学式や運動会といった行事に休日を設定しているようです。

 ただし、最低5日を個人の自由枠として残す必要があります。計画的付与といっても、社員が持つ有給休暇の全てを会社が指定できるわけではありません。休みたい日は個人で異なります。そのため最低5日は個人が自由に休める日として残さなければなりません。会社は5日を超える分について、計画的付与の対象にできるということです。何日分を計画的付与日にするかは、会社個々の実情に応じて社員の意見を聞きながら決めればよいでしょう。

 職場のトラブルとしてよくあるのは、たまった休暇を退職前に一度に取得し、引き継ぎを全くしないという身勝手な社員です。計画的付与で普段から休むことで、こうしたトラブルは減る可能性があります。

杉本 一裕(すぎもと かずひろ)
杉本 一裕(すぎもと かずひろ) 1985年にメーカー系IT企業に入社。多数の企業で勤怠・給与・人事制度の業務コンサルティングを手掛ける。退職後、社会保険労務士事務所のSRO労働法務コンサルティングを開業。IT企業をはじめ、製造業や病院、大学、鉄道など幅広い業種のコンサルティング業務を行う。