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Question

 希望するIT企業への転職が決まり、6月末で会社を退職します。しかし、翌7月に在籍していないことを理由に賞与をもらえません。支給対象となる業績評価期間(前期)には在籍していましたし、面談も受けました。賞与をもらうのは社員として当然の権利だと思うのですが。

Answer

 賞与がある会社では、6月や7月と12月の年2回、ボーナスが支給されるのが一般的です。それぞれ上期・下期の業績評価に基づいて支給されています。

 質問者の場合、この業績評価の面談を受けており、賞与をもらえないのは余計におかしいと思うのでしょう。できることなら賞与支給後に転職したい。そう考えるのも理解できます。

 しかし、賞与については給与と大きく違う点があります。給与は労働の対価として支給義務があることを労働基準法で定めています。会社は毎月一定期日に、全額を支給しなければなりません。

 これに対して賞与については、支給義務がありません。会社個々で支給ルールを定めて運用しています。

転職前には支給ルールの確認を

 会社個々で定めている支給ルールですが、ルール化することで支給義務が発生します。この支給ルールは、就業規則に明記されています。

 質問のケースでは、最も重要で確認しておくべき項目が「在籍要件」です。これは賞与支給日の当日に在籍している社員に対して支給するといった表現で明記されています。

 まずはこの在籍要件を確認してください。明記されているのであれば、仕方がないと納得するしかありません。

 在籍要件があれば、上期・下期に勤務していても支給日当日に在籍していなければ賞与は支給されません。このため退職時期については、十分に考慮する必要があります。

 つまり、転職者は賞与のことも考えて退職時期を検討するわけです。上司によっては、賞与支給の前月や前々月に辞めるよう促すケースもあるようです。そのため辞意を伝える時期についても、会社や上司によっては考える必要があります。

 一方、評価が高いのに賞与が少ないという不満の声もよく聞きます。

 例えば、大企業では上期・下期ごとに社員の個人業績を測るため、事前に目標を設定し、その結果について上司と面接して業績をレビューしているのではないでしょうか。

 しかし、単なる形だけの慣習的な“ガス抜き”の面接と思える場合もあります。賞与配分にある程度関わる、相応の権限を持つ管理職が面接すべきです。

 人員構成上管理職が多くなり、課や部が細分化して評価にメリハリが付かないケースもあります。組織が細分化すると1グループ当たりの人数が少なくなり、評価が上振れしてしまうのです。

 賞与原資は決まっているので、メリハリを付けた最終結果に基づいて各個人に配分されます。上司の評価はとても良かったのに、賞与がそれほど出なかったという不満の声が上がるのはこのためです。

杉本 一裕(すぎもと かずひろ)
人事コンサルタント
杉本 一裕(すぎもと かずひろ) 大阪府立大学大学院/経営学修士(MBA)修了。IT企業在職中は人事領域のコンサルティングを多数実施する。その後、社労士と行政書士事務所を開業。IT・医療・学校・製造業や流通業など幅広い業種の顧問先業務に従事する。