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Question

 部下の若手SEが、LINEで退職届を送ってきました。さすがに非常識だと思い、出社して書面で退職届を出すよう指示しました。ところが、本人は出社を拒否し、言うことを聞きません。どのように対処したらよいのでしょうか。

Answer

 まず、LINEでの退職届が有効かどうかをお答えします。結論から言うと、LINEでも退職の意思を伝えたことになります。本人も会社に来たくない事情があるのでしょう。同様に、メールや郵送で届いた退職届も有効です。かつてはファクシミリで届けられた退職届が認められるかどうかという相談が寄せられたこともありました。

 退職の意思通知は、口頭でも構いません。よって、LINEやメール、ファクシミリ、郵送による退職届も有効になります。

 ただ、ファクシミリについては一方向の通信手段であり、ファクシミリ機器での送受信ミスの恐れや本人が送ったものかどうかが分からないといった問題があります。

 その点、LINEやメール、記録が残る書留郵便などは、確実な通信手段と言えます。LINEやメールは送受信もできるので「届けた」「受け取っていない」といった送信者と受信者の間で発生しがちな問題も生じません。送受信の日付や時刻も明確になり、証憑が残るメリットもあります。そのためLINEによる退職届について、一概に非常識とは言えないかもしれません。

それでも書面が必要になる理由

 理屈で言えば上記のようになりますが、現実には紙の文書がベストです。なぜなら紙の退職届が必要な場面があるからです。

 例えば本人が離職票を希望する場合、紙の退職届(自己都合退職の場合)が必要です。なぜなら、会社がハローワークで離職票の発行手続きをする際に、退職届を添付する必要があるからです。

 会社の立場で見ると、後々無用なトラブルを生まないためにも、退職理由や退職日、署名・なつ印がある紙の退職届で管理したいところです。よって、現実には紙での運用が妥当だと思います。

 質問者のケースでは、退職日も考慮すべきでしょう。正社員の場合、雇用期間の定めが無いからです。

 正社員の退職日は、本人が会社に退職の意思を伝えてから最短で2週間経過後になります。ただし、多くの会社では退職予定の1カ月前までに申し出るよう社内ルール(就業規則)などで定めているでしょう。

 実際には、勤務する気が全く無い者に「1カ月後でないと退職できない」とは言えません。民法では、いつでも雇用関係の解約を申し入れられ、2週間経過すれば終了すると定めています。そのため本人と退職日を調整する必要があります。

 質問者のケースでは、業務の引き継ぎ期間が必要かもしれません。それでも2週間以内に手続きを済ませる工夫が必要です。会社は社内ルールではなく、民法に従って譲歩すべきです。

杉本 一裕(すぎもと かずひろ)
人事コンサルタント
杉本 一裕(すぎもと かずひろ) 大阪府立大学大学院/経営学修士(MBA)修了。IT企業在職中は人事領域のコンサルティングを多数実施する。その後、社労士と行政書士事務所を開業。IT・医療・学校・製造業や流通業など幅広い業種の顧問先業務に従事する。