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Question

 会社からスマートフォン(スマホ)を貸与されていますが、ある社員が頻繁に私用の電話やメールに使っています。上司として、どこまで厳しく管理すればよいのでしょうか。

Answer

 会社が社員に貸与するスマホについては、企業によって利用ルールが異なります。そもそも社員は個人用と会社用の「2台持ち」の状態となり、どうしても個人スマホを取り出すのが面倒で、悪意なく会社スマホを私用で使ってしまうケースがあるようです。

 私用の電話やメール以外にも、紛失や不正アプリのダウンロードに起因する情報漏洩など、会社スマホの利用には気を使う必要があります。仕事に不要なゲームなどのダウンロードは当然禁止すべきです。

 会社スマホの利用で特に問題視すべきは、職務専念義務を怠った行為と通話料金の高額請求です。これらの違反は会社だけでなく上司としても厳しく指導する必要があります。

 職務専念義務とは、文字通り就業時間中に仕事以外のことを行ってはならないという義務です。もちろん緊急の連絡もあるので、筆者は常識の範囲内なら大目に見てよいと思います。しかし、頻繁に彼氏や彼女、友人とメールやLINE、通話をするのは論外です。こうした場合は、監督者である上司として叱ることが多いでしょう。

料金データを活用する

 難しいのは「常識の範囲内」の定義です。例えば月3回程度の私的利用なら何も言わない、あるいは50回ぐらいを超えたら叱るといった運用が考えられます。しかしこれらのルールを感覚的に運用すると「他の社員も私的利用している」という反論が必ず出てきます。

 そこで利用したいのがキャリアの料金データです。筆者の経験上、多くの会社がスマホや携帯電話ごとに料金を把握しています。異常に高額な請求があれば、すぐにおかしいと判断できます。発信先や個別の料金を確認するのも可能です。

 目立つ社員については、個別に確認します。スマホや携帯電話が貸与されるのが当たり前の時代です。社員数が多くなれば詳細まで見るのは困難かもしれません。それでもコンプライアンスの観点から、異常な料金は確認したほうがよいでしょう。

 とはいえ、違反社員に対して口頭で注意しても、なかなか改善されないケースがあります。その場合は、利用料の返還も検討しなければなりません。ここ数年は減ってきましたが、高額請求の料金を社員に返還させたいという相談を受けることがあります。会社が貸与する目的は仕事で使うため。当然、仕事以外の料金を会社が負担する理由はなく、社員に請求できます。

 一方で社員による会社スマホの不正利用については、会社側の管理責任もあります。そのため返還金額には一定の譲歩が必要です。過去何年も私的利用していた場合は料金が驚くほど高くなりがちです。一方的に請求するのではなく、該当社員とよく話し合って判断しましょう。

杉本 一裕(すぎもと かずひろ)
杉本 一裕(すぎもと かずひろ) 1985年にメーカー系IT企業に入社。多数の企業で勤怠・給与・人事制度の業務コンサルティングを手掛ける。退職後、社会保険労務士事務所のSRO労働法務コンサルティングを開業。IT企業をはじめ、製造業や病院、大学、鉄道など幅広い業種のコンサルティング業務を行う。