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カスタマージャーニーマップ
ユーザーの悩みの種を見つける

 カスタマージャーニーマップとは、ユーザーの行動を時系列で分析する手法だ。リーンキャンバスが全体的に課題を捉えるのに対し、カスタマージャーニーマップはユーザーの行動ごとに課題を洗い出す。

 ここでは、NTTデータの朱峰錦司システム技術本部生産技術部Agile Professional Center課長代理が現場で実践している方法を紹介しよう。シンプルだが、システム開発につながる工夫を凝らしてある。

 まずはAs-Is(現状)のカスタマージャーニーマップを作成して、デジタル変革や新サービス開発で解決する課題の候補を見つけ出す。具体的には、模造紙をタイムライン、ユーザーの行動、インサイトと3つのゾーンに分ける。一番上のタイムラインのゾーンに、ユーザーの行動を分類する大まかなフェーズを付箋に書いて貼り付ける。

図3●ユーザーの行動と課題を可視化する「カスタマージャーニーマップ」
図3●ユーザーの行動と課題を可視化する「カスタマージャーニーマップ」
ユーザーの行動を時系列に挙げていき、解決すべき課題を見つけ出す
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 次に、フェーズごとにユーザーの行動を洗い出す。各フェーズでユーザーの具体的な行動を考え、付箋に書いていく。付箋は時系列に沿って横に並べて模造紙に貼る。

 続いて、一番下のインサイトのゾーンに、行動に対応したユーザーの気持ちやそれが生じる要因を書いた付箋を貼る。ユーザーの悩みの種であるネガティブなインサイトを「ペインポイント」と呼ぶ。これがシステム開発の仮説を導く重要なヒントとなる。ペインポイントとポジティブなインサイトでは、付箋の色を分けておくと作業しやすい。

 As-Isのカスタマージャーニーマップが完成したら、To-Be(あるべき姿)のカスタマージャーニーマップを作成する。模造紙をタイムライン、ユーザーの行動、解決するアイデアと3つのゾーンに分ける。タイムラインとユーザーの行動のゾーンには、As-Isの場合と同じように付箋を書いて貼る。「ユーザーの行動を大きく変える場合もあるが、プロジェクトの大部分は問題改善が目的だ。As-Isと同じ内容の付箋を貼ることが多い」(朱峰課長代理)。

 解決するアイデアのゾーンには、As-Isで洗い出したペインポイントを解決する案を書いて貼り付ける。複数の解決案がある場合は、優先度が高い順になるように並べる。

 ここまでの作業は発散型の議論で、出てきた意見をどんどん付箋に書いて貼っていく。As-Is、To-Beともに一通り出し切ったら、ペインポイントとそれに対応する解決のアイデアを整理した表を作成する。

 この表を基にペインポイント、解決するアイデアに優先順位を付ける。朱峰課長代理は2つの観点で実施することを推奨する。「まずはペインポイントを見て、実際にユーザーの悩みになっていそうな順番に並べる。次に解決のアイデアを見て、システムの機能として価値が高そうな順番に並び替える」(同)。

 必要に応じて、エンドユーザーへのインタビューやアンケート調査を通じてさらに確度を高める。これがシステム開発の仮説となる。