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DXの成功には、アプリを何度でも確実にデプロイ(配備)する力が欠かせない。システム基盤、開発体制、アジャイル人材が鍵を握る。

 DXに向けたアプリケーション開発では、当初から完成形が見えているケースは少ない。利用者と対話しながら試行錯誤し、必要な機能を実装していくアジャイル型が基本だ。

 そこで求められるのが、アプリを素早く確実に何度でもデプロイできる「高頻度デプロイ力」である。これが無ければ、利用者のフィードバックでアプリを改善するスピードも鈍ってしまう(図2)。

図2●試行錯誤や改善を繰り返すための「高頻度デプロイ力」
図2●試行錯誤や改善を繰り返すための「高頻度デプロイ力」
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「箱があるだけではダメ」

 東京海上日動火災保険は2018年4月、DX向けの開発基盤をAWS(Amazon Web Services)上に新設した。アプリのリリースプロセスを自動化する「AWS CodePipeline」を中心に、コミット機能「AWS Code Commit」、ビルド機能「AWS Code Build」、デプロイ機能「AWS Code Deploy」を組み合わせて、高速にアプリをプログラミング、テスト、デプロイできる基盤を構築。それを活用し様々なアプリを作ってきた。

 DXの実現に向けたITプロジェクトを率いる東京海上日動火災保険の村野剛太IT企画部長は、こうした実績を振り返りながらも「箱があるだけではダメ。開発スピードを上げるために本気のアジャイルを定着させるチームを作った」と、基盤整備に続けて二の矢を放った。それが2019年4月、東京都中央区銀座に設置した「デジタルイノベーション本部」である。

銀座でアジャイル

 東京海上日動火災保険は、グループの情報システムを手掛ける東京海上日動システムズを持つ。東京海上日動システムズの本社は東京都多摩市にあるが「DXを推進するため別動隊を銀座に設けた」(村野部長)わけだ。

 「PoC(概念実証)から本番適用、結果分析、改善までを一気通貫できる組織を作った」。村野部長がこう話すように、DevOps開発とデータ分析の要員を集めたデジタルイノベーション本部のメンバーは現在100人を数えるまでになった。従来はDevOps部隊が多摩にいたため、PoC部隊とDevOps部隊の調整が大変だった。今は、両部隊が1カ所にいるので、「実際作るとどうなるか」といった相談が気軽にできるし、1日に何度も打ち合わせられるようになった。「DevOps部隊が多摩にいたときは、このスピードは実現できなかった」(村野部長)。

 さらに銀座という地の利を生かし、東京海上日動火災保険の本社がある丸の内のビジネス部門との連携スピードも上がったという。