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「経営層の責任は重いと言わざるを得ない」

 [2]の生産国表示の偽装では、シチズン電子が中国に設けた製造拠点(江星電子有限公司)で造った中国生産品を、物流センターで国内生産品と混載。「Made in Japan」と印字したシール(ケースマーク)を梱包箱などに貼付して出荷していた。江星電子は1988年の設立で、遅くとも1990年頃から物流センターが中国生産品を受け入れていた。中国生産品の出荷量はシステム上の記録がないため、不明だという。

 [3]の品質データ偽装では、照明用LED製品の品質データを改ざんしたり、捏造したりした。具体的には、照明用LED製品の寿命推定などに関する試験(LM-80試験)における「光束維持率(規定の条件でLED を点灯させ場合に、所定の時間における初期光束に対する光束の割合)」。この品質データに関して、以下のような不正行為が見られた

(1)光束維持率を実際の値よりも高い数値に改ざんした。
(2)一定時間が経過後に試験を中止したため光束維持率を測定できないにもかかわらず、データを捏造した。
(3)試験に投入したサンプル数を水増しし、その分の測定値のデータを捏造した。
(4)試験を実施していないのに、他の試験データを流用するなどして測定値のデータを捏造した。

 シチズン電子はこれらの偽装した品質データをレポートに記載して発行し、米国の顧客に提出していた。こうしたレポートを発行したのは、2012年4月~2016年12月の期間の約4年8カ月におよび、対象となる照明用LED製品は21機種で、同じく試験は21件という。

 調査報告書は、一連の品質不正問題の「根本原因」について、経営層の責任を指摘。無計画な事業運営を行っており、問題に直面すると、担当者の場当たり的な判断や、部門間の社内力学が反映された判断が下される。大局的な見地からの判断ではない上に、そうした判断を下す仕組みも構築していない「経営層の責任は重いと言わざるを得ない」(同報告書)。

 併せて、一連の品質不正問題の「原因および背景」について、同報告書は以下の7点を指摘した。
〔1〕売り上げ至上主義に基づく収益重視に偏った経営
〔2〕誤った顧客第一主義の発想
〔3〕役職員のコンプライアンス意識の低さ
〔4〕自社製品の品質に関する過剰な自信と品質の信頼性に関わる試験データ軽視の傾向
〔5〕認定試験所の物的設備の脆弱さ、人的リソースの不足、および依頼部署との連絡体制の未整備
〔6〕品質管理・保証部門の独立性、およびその役割に対する理解の不十分性
〔7〕責任と権限等を定める規程などの不明確性