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 東京工業大学発のベンチャー企業であるプラズマコンセプト東京(東京・葛飾区)と、釣り糸などを製造・販売するサンライン(山口・岩国市)は、大気圧低温プラズマを使ってナイロン繊維を耐水化・耐薬品化する加工技術を共同開発した(ニュースリリース:PDF)。大気圧低温プラズマによって、高い活性力を持つ活性種を生成することにより、高速かつ連続処理でナイロン繊維を表面改質する。耐水性が求められる屋外資材や、耐薬品性が求められる自動車部材などに同技術を施すことで、耐久性の向上が期待できるとしている。

ナイロン繊維の水中(23℃)浸漬時間における水分率の変化
ナイロン繊維の水中(23℃)浸漬時間における水分率の変化
(出所:サンライン)
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 ナイロン繊維は、吸水特性による強度劣化や、収縮による寸法変化、球晶の形成による白化などが起こるため、水が介在する用途では耐久性の改善が課題となっていた。また、酸に対して溶解しやすいため、耐薬品性の向上も課題だった。これまでは、繊維の結晶化度を制御する方法やフッ素化合物によるコーティング加工などを用いて対策していたが、強度低下や硬質化などの特性変化を伴うほか、衝撃などの外部要因や繊維の伸縮によって剥離してしまうなど、被膜の持続性に課題があった。さらに、フッ素化合物は原料コストや環境負荷が大きいことも課題だったとする。

 そこで、両社は大気圧プラズマを用いた表面改質に着目した。サンラインは、大気圧プラズマによる釣り糸の製造技術を確立していたため、これを応用することで繊維表面の分子構造を改質し、水や薬品の吸収を抑制できると考えた。今回開発した技術では、釣り糸製造で培った低温プラズマ処理技術を発展させることで、ナイロン繊維の物性変化を伴うことなく様々な表面改質を可能にしたという。耐水化向上処理では吸水性を抑制し、水中に6時間浸した後の吸水率を従来の約30%に低減。耐薬品向上処理では、ナイロンを溶解するギ酸(88%)や濃硫酸に5分間接触させても繊維が溶解しないことを確認した。

ナイロン繊維のギ酸(88%)に対する溶解性
ナイロン繊維のギ酸(88%)に対する溶解性
(出所:サンライン)
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ナイロン繊維の濃硫酸に対する溶解性
ナイロン繊維の濃硫酸に対する溶解性
(出所:サンライン)
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 両社は今後に向けて、釣り糸への応用のほか、ナイロン繊維以外のポリビニルアルコールやポリアセタールなどの表面改質への応用、炭素繊維やアラミドなどの高性能繊維の表面改質(特に接着性改善)への適用に期待を寄せている。