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 東京大学は、フェムト秒レーザー光によるガラス微細加工を従来の5000倍高速化し、加工品質を高める技術を開発した(ニュースリリース)。フェムト秒レーザー光で瞬間的に形成した電子密度の高い領域に透過波長レーザー光を吸収させて加工する。フェムト秒レーザー加工はガラスのような透過素材を加工できるメリットがあるが、加工速度が遅い、加工時にクラック(ひび割れ)ができるといった課題があり精密加工が難しかった。また今回の技術はガラスに限らずさまざまな非金属材料にも適用可能だとする。

従来のフェムト秒レーザー加工(左)と今回の新技術による加工(右)の比較(出所:東京大学大学院工学系研究科)
従来のフェムト秒レーザー加工(左)と今回の新技術による加工(右)の比較(出所:東京大学大学院工学系研究科)
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応力波によるクラックの発生を防ぐ

 フェムト秒レーザーは極めて短い時間(フェムト秒:fs=10-15秒)で材料にエネルギーを送り込むため、ガラスのような透明な材料に対しても光を吸収させて微小形状を作成できる。この一方で、ガラス加工に適用した場合、加工速度が遅く、加工精度が低い課題があった。

フェムト秒レーザーによる加工では、極めて短い時間にエネルギーが投入されるために材料が急激に膨張し、材料内部に応力波(材料が除去される際に材料内部に伝搬する疎密波)が伝搬する。多数のパルス波を照射する場合、パルス数と同等の数の応力波が形成され、材料内部に伝搬する過程でガラス材料に強い引張応力が分布する結果、クラックが生成される。このため従来は精密な加工が難しかった。

フェムト秒レーザー照射により、ガラス材料内部に形成された高電子密度領域(出所:東京大学大学院工学系研究科)
フェムト秒レーザー照射により、ガラス材料内部に形成された高電子密度領域(出所:東京大学大学院工学系研究科)
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