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 英Arm社は、機能安全性(セーフティー)を強化した車載SoC向けのCPUコア「Cortex-A76AE」を発表した(ニュースリリース)。ハイエンドモバイル機器用SoCに向けたCPUコア「Cortex-A76」(関連記事1)を、ADASや自動運転車などに向けて強化した。AEは「Automotive Enhancement」の略である。

「Cortex-A76AE」の概要。Armの図
「Cortex-A76AE」の概要。Armの図
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 発表によれば、主な強化ポイントは以下の通り。第1に、ISO26262 ASIL-Dに対応するため、2つのコアが同期動作するロックステップ動作をサポートする。この動作に必要な2つのコアの出力を比較するコンパレーターを内蔵した。ロックステップ動作するCPUコア対は、必要に応じて同動作をせずに、それぞれ個別に動作することも可能である。ロックステップ動作と個別動作の両方に対応できることを、Armは「Split-Lock」と名付けた。Split-Lockには、ロックステップ動作のコア対の1方が故障した場合に、もう1方だけで動作を継続させる機能もある。

 第2に、次のメモリー保護機能を標準でサポートする。すなわち、L1キャッシュをSECDED(Single Error Collection, Double Error Detection)のECCとパリティーで保護。L2とL3キャッシュはSECDED ECCで保護する。

 第3に、RAS(Reliability, Availability, Serviceability)機能を充実させた。これにはコア及びDSU(DynamIQ Shared Unit)のエラーレポーティング機能や、故障管理テストのためのエラー注入、実行ポイントまでエラーによるアボートを先延ばしするためのデータポイズニングなどが含まれる。

周辺コアの車載対応版も発表

 今回、Armは、AE版の周辺IPコアとして、割り込み制御の「CoreLink GIC(Generic Interrupt Controller)-600AE」、メモリー管理の「CoreLink MMU(Memory Management Unit)-600AE」(関連記事2)、コア間接続の「CoreLink CMN(Coherent Mesh Network)-600AE」(関連記事3)の3つを同時に発表した。なお、Cortex-A76AEは7nm Fin FETプロセスで実装するように最適化されている。16個のCortex-A76AEをCoreLink CMN-600AEで接続したCPUクラスターを7nmプロセスで実装した場合、CPUクラスターの消費電力は15W以下になるという。また、このCPUクラスターを含む車載SoCを7nmプロセスで実装した場合、処理性能は250k DMISP以上で、消費電力は30W未満になるとする。

 さらに今回、Armは7nmプロセスに最適化したAE版コアのロードマップを公開した。ロードマップには「Helios-AE」や「Hercules-AE」といった名称のコア、「Cortex-R」の将来版が見えるが、いずれの詳細は明らかにされていない。また、今回発表のいずれのコアの提供開始時期も明らかにされなかった。

AE(Automotive Enhancement)版コアのロードマップ。Armの図
AE(Automotive Enhancement)版コアのロードマップ。Armの図
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