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 大日本印刷は2018年11月29日、中部電力とJTBの2社とそれぞれ協業し、個人の許諾を前提に個人情報の流通を仲介する情報銀行サービスの実証事業を2018年12月に始めると発表した。

 中部電力とは電力使用量など主に家庭で収集したデータを近隣の事業者が生活支援サービスに生かす「地域型」の情報銀行を共同で構築し、実証する。一方、JTBとは個人の嗜好や位置情報などを旅行サービスの充実に使う観光分野向けの情報銀行を共同構築し、検証する。

 2つの実証サービスともに総務省に採択され国の予算を使って実施する事業。2018年12月から3カ月程度実施する予定だ。終了後はそれぞれ中部電力やJTBと事業性を検討するものの、大日本印刷としては「(それぞれの情報銀行サービスを)2019年度中に社会実装する」(情報銀行を担当するABセンター コミュニケーション開発本部の井上貴雄副本部長)方針だ。

 中部電力との実証は愛知県豊田市で実施する。440人ほどのモニター参加者を募り、参加者宅に置いた体組成計の計測結果や電力使用量など各種生活データを収集する。収集データを基に体形や生活パターンなどを考慮した食品や生活雑貨を商店から提案したり、モニター参加者の嗜好に合った広告をその人の帰宅時間に合わせて駅前商業施設に配信したりといった情報活用モデルを検証する。

中部電力との実証で予定する利用者向けユーザーインターフェース
中部電力との実証で予定する利用者向けユーザーインターフェース
出所:大日本印刷、中部電力
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 モニターの個人情報を各事業者が個別に収集するのではなく、大日本印刷と中部電力が共同構築する情報銀行にいったん集約し、参加者の許諾設定に基づいて事業者側に情報を開示する点が従来の個人情報活用と異なる。2社のほか豊田市や、同市を中心に食品スーパーなどを展開する山信商店、地域で都市開発を手掛ける豊田まちづくりなどが実証に参画する。

 JTBとの実証は京都府京都市、東京都台東区の上野地区の2カ所の観光地で実施する。個人の嗜好に合わせた旅行プランを提案するスマートフォン向けの専用Webサイトを開設し、会員を募って個人の嗜好などを登録してもらう。この情報のほか旅行者の位置情報も踏まえながら、地域にある観光施設やイベント情報などを配信する。実証期間中に1000人ほどの参加者を獲得する計画だ。

JTBとの実証で予定するサービス画面とフロー
JTBとの実証で予定するサービス画面とフロー
出所:大日本印刷、JTB
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 大日本印刷は、情報銀行の運営体制を監査・認定する事業への参画を表明済みだ。情報銀行の認定事業は日本IT団体連盟が実施し、この際の監査業務などを大日本印刷が受託する。

 大日本印刷はこれとは別に、中部電力やJTBのような顧客やデータを収集しやすい事業基盤を持つ企業と協業し、情報銀行の運営そのものも中核事業に位置付ける。情報銀行関連の事業で、2030年までに累積350億円の売り上げを見込む。