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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と新明和工業、大分大学、日本文理大学、茨城大学、静岡大学の6者は、「世界最高クラス」の小型・高効率モーターを開発したと発表した(図、ニュースリリース)。質量は25gで、出力50Wで連続運転が可能。低速回転から高速回転、低出力から高出力の広い範囲にわたって80%以上の効率で運転できる。

図:開発した小型・高効率モーター。測定装置取り付け用の治具を装着した状態。(出所:JAXA)
図:開発した小型・高効率モーター。測定装置取り付け用の治具を装着した状態。(出所:JAXA)
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 開発品は、1万5000rpm以上の高速回転では、広範囲で85%以上の効率を達成する。発熱が少ないのも特徴だ。

 用途としてはまず、宇宙探査用機器への搭載を想定する。真空状態の月表面や大気の薄い火星表面では対流による放熱はほとんど期待できないため、高効率で発熱の少ないモーターが必要だ。地上での事業化としては、モーターの質量が小さいほど航続時間を延長できるドローンや、ロボットの関節、温度変化を避けたい精密計測器などが考えられる。

 今回の共同研究は、JAXAの「宇宙探査イノベーションハブ」として展開されたもの。吉川工業(本社北九州市)が、ベクトル磁気特性技術研究所(大分県宇佐市)や日本金属(本社東京)と開発・量産化した高速高効率コアを採用し、製作した。詳細な技術情報については「第31回『電磁力関連のダイナミクス』シンポジウム(SEAD31)」(2019年5月22〜24日、東京工業大学すずかけ台キャンパス すずかけホール)で発表する予定だ。

 宇宙探査イノベーションハブは2015年4月1日、「科学技術イノベーション総合戦略2014~未来創造に向けたイノベーションの懸け橋~」(2014年6月24日閣議決定)に基づいて設置された。科学技術振興機構(JST)の支援を受け、さまざまな分野の人材・知識を集めた組織を構築し、宇宙探査にかかわる研究の展開と定着を推進。現在は相模原キャンパス(神奈川県相模原市)において「広域未踏峰探査技術」「自動・自律型探査技術」「地産・地消型探査技術」の3つの研究分野を中心に、約30人体制で新技術の開発に取り組んでいる。日本発の「宇宙探査におけるGame Changing(現状を打破し、根本的にものごとを変えること)」を実現する技術を開発し、宇宙探査の在り方を変えると同時に「地上技術に革命を起こす」ことを目指す。

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