カナダのディーウェーブシステムズ(D-Wave Systems)は2019年2月27日(現地時間)、量子アニーリング方式の量子コンピューターである「D-Wave quantum computing platform」の次世代機の仕様などを発表した。量子ビットの数を現在の2000個から5000個以上に増やすと同時に、量子ビット間の結合数も現在の6個から15個に増やす。
D-Waveが量子ビット間の結合形態(トポロジー)を大幅に変更するのは、次世代機が初めて。現在の「Chimera」トポロジーでは量子ビットが他の6個の量子ビットと結合しているが、次世代機の「Pegasus」トポロジーでは量子ビットが他の15個の量子ビットと結合する。
次世代機は量子ビット間の結合数が増えることで、より規模の大きな組み合わせ最適化問題を、より少ない量子ビットの数で解けるようになる。量子ビットの結合は、全ての量子ビットが他の全ての量子ビットと結合する「全結合」が理想ではあるものの、物理的になかなか難しい。そのためD-Waveは部分結合を採用している。
次世代機では量子ビットを実装した量子プロセッサーのエラー率も現在より低下し、量子ビットが特定の量子状態を維持できる「コヒーレンス時間」も長くなると同社は主張する。これによって量子アプリケーションのスピードアップを実現できるとしている。
D-Waveは量子コンピューターの販売と、クラウドサービスとしての提供の両方を手掛ける。量子コンピューターを既に購入済みの顧客は2020年半ばに、量子プロセッサーを次世代機に更新できるようになる。同じくクラウドサービスでも2020年半ばまでに利用可能になる予定だ。