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 医療科学研究所は2019年5月18日、「AI(人工知能)は創薬に何をもたらすか」をテーマに産官学の関係者を集めたシンポジウムを開催した。登壇者からは「日本の勝ち筋は人間中心の健全なAIの社会実装」といった指摘が相次いだ。内閣府の担当官は6月に大阪で開催する20カ国・地域(G20)首脳会合でAIの倫理やデータガバナンスの確保を盛り込んだAI原則を打ち出す考えを明らかにした。

医療科学研究所「産官学シンポジウム 2019」の模様
医療科学研究所「産官学シンポジウム 2019」の模様
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 日本はアジア唯一の新薬開発国として、企業などが創薬分野で莫大なコストや開発期間が大幅に効率化できるとしてAI開発を進めている。シンポジウムでは産学連携プロジェクトで約30種類の創薬AIを開発している「ライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)」や製薬企業がそれぞれの取り組みを紹介した。

 LINC代表の京都大学大学院医学研究科の奥野恭史教授はAI開発の成果の一部を披露した一方で、企業が医療データを扱う際の規制の在り方や、研究を加速させるための資金などを現在の課題に挙げた。AIの開発では巨大IT企業がリードする米国や国家主導の中国などが先行していると言われるなか、開発スピードも国内IT企業の課題だと指摘した。

 厚生労働省の担当官はこれらを踏まえて「日本の強みは質の高いデータ」と強調した。宮田裕章・慶応義塾大学医学部教授も「データを取得する際の質は日本が築き上げた職人文化の強みで勝負できる」と述べ、「少子高齢化などの課題先進国として個人が軸のトラストを基にどう経済を発展させるか、日本はG20で提案する必要がある」と指摘した。