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米中貿易摩擦でサムスンが漁夫の利

 サムスン電子が半導体の新たな成長のけん引役として期待を寄せているのが、5Gだ。同社の報道資料をみると、スマホと通信設備、半導体と、5Gの全てを保有しているのは同社しかないという強みを生かし、当面は韓国と米国、ヨーロッパの5G市場をターゲットにするとしていた。そこから市場シェアを伸ばし、他の国でも5Gビジネスのチャンスを増やしていくという流れだ。

 2019年8月13日には、ネットワーク事業部の2019年4~6月の売上高が同社史上最高の1兆6000億ウォン(約1400億円)を超え、世界の5G通信設備市場では2019年1~3月にシェア1位を獲得したと発表した。5G通信設備1位といえば中国華為技術(ファーウェイ)だったが、バックドア疑惑により多くの国がファーウェイの設備を採用しない方針を決めたことで、サムスン電子が“漁夫の利”を得た。

 中国での低価格スマホ市場が伸びたことでハイエンドスマホ市場は低迷気味だったが、5Gの普及と共に生き返るとサムスン電子は見ている。5Gモデム統合型のスマホ向けチップセット「Exynos 9630」も開発しており、いわゆる“お手頃価格帯”のスマホ「Galaxy A」シリーズに2020年以降、搭載する予定とする。

 サムスン電子は、悲願だった非メモリー半導体事業の拡大を着々と進めており、対韓輸出管理の影響を受けている様子はない。2019年8月12日には、世界初となる1億画素超えのスマホ向けCMOSイメージセンサー「ISOCELL Bright HMX」を発表した。カメラ用並みの1億800万画素で、同社は中国のスマホ大手小米(シャオミ、Xiaomi)と技術協力して開発した。シャオミのスマホに搭載するとしており、2019年8月中に量産を開始するとしている。イメージセンサーの世界市場シェアはソニーが圧倒的1位で、サムスン電子は2位である。シェアを伸ばすためシャオミと手をつないだわけだ。自動運転車向けのイメージセンサー、さらには触覚や嗅覚などのセンサーにも力を入れるという。

1億800万画素の「ISOCELL Bright HMX」
1億800万画素の「ISOCELL Bright HMX」
(写真:サムスン電子のプレスリリース)
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 平常通りに開発を進めていることをアピールするのは、サムスン電子だけではない。SKハイニックスは2019年8月12日、1秒当たり460Gバイトのデータを処理できる業界最速のDRAM「HBM2E」(High Bandwidth Memory Extension)の開発に成功し、2020年から量産すると発表している。