ソフトバンクが2019年9月13日に始める新しい端末購入プログラム「半額サポート+」に対し、早くも物言いが付いた。「(通信料金と端末代金の完全分離や行き過ぎた囲い込みの是正などを定めた)改正電気通信事業法の趣旨に反する」との指摘が、総務省が2019年9月11日に開いた有識者会合で出たのだ。半額サポート+の提供が直ちに取りやめとなる事態はなさそうだが、今後の議論次第では見直しを余儀なくされる恐れがある。
総務省の有識者会合「モバイル市場の競争環境に関する研究会」で、構成員を務める野村総合研究所の北俊一パートナーが指摘した。半額サポート+はソフトバンクの回線契約の有無にかかわらず利用できるが、端末にはソフトバンクのSIMロックがかかっている。端末は分割払いだけであり、購入から100日以上が経過しなければSIMロックを解除できない。「実質、端末による囲い込みとなっている。SIMロック解除の100日ルールを無くしてしまうべきだ。改めてSIMロックの在り方を検討する必要がある」と問題提起した。
北氏が問題視したのはこれだけではない。半額サポート+は25カ月目以降に新しい指定機種に買い替えた場合に最大半額となる仕組みであり、「ダブルで端末による囲い込みとなっている。ソフトバンクは自分から(制度の)抜け穴に落ちてくれた。穴は埋めてあげないといけない。しっかり議論する必要がある」と強調した。2年おきに端末の買い替えを促す仕組みについては、「抜けられなくなる」として他の構成員からも問題視する意見が出ており、総務省も「これから議論していきたい」とした。
総務省が2019年9月6日に策定した「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」には、「端末の詐取などの不正を防止する目的で販売等する端末にSIMロックをかけることは、それ自体では『継続利用』を条件とする利益の提供に当たらない」との例示がある。ソフトバンクは同ガイドラインを受け、満を持して半額サポート+を投入したわけだが、思わぬ展開を迎えた格好だ。今後の議論次第ではガイドラインも見直しとなる可能性がある。
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