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 川崎重工業は2019年10月4日、宇宙ごみ(スペースデブリ)除去衛星の運用に向けた地上局を同社岐阜工場に設置した。今後、自社開発の人工衛星による実証試験でノウハウを蓄積し、2025年のスペースデブリ除去事業開始を目指す。

新設した地上局(出所:川崎重工業)
新設した地上局(出所:川崎重工業)

 新たに設置した地上局では、同社が2020年度に打ち上げ用のスペースデブリ除去衛星を使った実証試験において、コマンド送信やデータ受信などの運用を予定している。さらに、同社が今後参入を目指す衛星データ活用ビジネスにおいても、他社製も含めたさまざまな人工衛星とのデータ送受信や、人工衛星データの解析・提供といった機能を担う。

実証試験に用いるスペースデブリ除去衛星の1/2模型(出所:川崎重工業)
実証試験に用いるスペースデブリ除去衛星の1/2模型(出所:川崎重工業)

 川崎重工業は、2011年からスペースデブリ除去技術の開発に取り組んできた。除去対象としては、日本がこれまでに打ち上げたロケットの上段を想定している。前出の2020年度に打ち上げを予定しているスペースデブリ除去衛星では、画像センサーで対象を捕捉する技術や、対象に自力で接近する技術、衛星に取り付けたアームで対象を把持する技術などについて実証実験を行い、2025年の事業化を目指す。

 地上局は、人工衛星データ送受信用の直径3.7mのアンテナと、テレメーター室(管制室)で構成する。アンテナは、6本のジャッキの伸縮によって駆動するヘキサポッド方式を採用。天頂方向の軌道を連続追尾しやすいという。Sバンド(2G~4GHz)の送受信、Xバンド(8G~12GHz)の受信が可能である。電波の方向を検出する自動追尾機能を搭載しており、人工衛星の正確な追尾を実現した。

 現在、宇宙空間には、過去に打ち上げられたロケットの残骸や、運用を停止した人工衛星やその破片といったスペースデブリが2万個以上(直径10cm以上のもの)も軌道上を周回している。これらは、国際宇宙ステーションや人工衛星との衝突リスクが懸念されている。