PR

 米Qualcomm(クアルコム)は2019年10月23日、韓国、英国、スイス、米国のネットワークにて、同社のSnapdragonモバイルプラットフォームで開発された5G端末を使った5Gベンチマーク調査の一部を同社のブログに公開した(Qualcommのブログ)。無線通信市場の調査とコンサルティングを手がける米Signals Research Group(SRG)の協力による。調査報告書全文は「Signals Research Group's 5G benchmark study」ダウンロードサイトから、プレゼンテーション資料も「Signals Research Group Benchmark study presentation」ダウンロードサイトから、入手可能となっている。

(1)データ処理能力はLTEの2倍、ピーク時性能は10倍に
 韓国SK Telecomと英EE、スイスSwisscom、米Verizonの各ネットワークのデータ転送レート値をまとめた(図1)。ロンドン中心部でサブ6(6GHz未満の周波数帯)のネットワークを使った歩行テストでは、平均220 Mビット/秒、ミネアポリスのベライゾンのミリ波ネットワークではピーク性能1.6Gビット/秒、平均383Mビット/秒を確認している。既存のLTEネットワークのデータ処理性能と比較して平均2倍、ピーク時性能は10倍とのデータも得られている。こうした性能向上が、ビット数当たりの低価格化を実現し、データ無制限プランを可能にしている。

図1 韓国、英国、スイス、米国の各ネットワークのデータ通信性能比較
図1 韓国、英国、スイス、米国の各ネットワークのデータ通信性能比較
出所:SRG
[画像のクリックで拡大表示]

(2)障害物がある場所でもミリ波通信は可能
 ミリ波のカバレッジや通信性能については、いくつかの誤解がある。今回の調査では、2ブロック離れた建物で反射した信号により、200Mビット/秒と通常のLTEより速いデータ速度を確認した(図2)。5Gミリ波が障害物のある場所でも建物からの反射により、通信持続可能な信号強度を保つことが証明された。その反射により、曲がり角や、基地局と端末の間に障害物がある場合のカバレッジを強化できることも分かった。従来報告されていたミリ波接続時の問題の多くは、5Gと連携しないLTE基地局とのハンドオーバー時に発生している。こうした問題は、ネットワーク環境を最適化することで対処できる。

図2 障害物がある場所でのミリ波通信実験結果
図2 障害物がある場所でのミリ波通信実験結果
出所:SRG
[画像のクリックで拡大表示]

(3)ミリ波は屋内通信にも有効
 スタジアムや展示場、駅など、巨大な施設で人々が同時に通信を行う場所でも、通信事業者はある程度の性能と十分な通信能力を提供する必要がある。今回は、ミネソタ州ミネアポリスにあるUSバンクスタジアムに、13基の5Gミリ波基地局を設置して調査。6万6000超の観客席全体に、平均1.66Gビット/秒、ピーク時1.95Gビット/秒のデータ通信を提供可能であることを確認した(図3)。

図3 USバンクスタジアムでの5Gミリ波通信実験結果
図3 USバンクスタジアムでの5Gミリ波通信実験結果
出所:SRG
[画像のクリックで拡大表示]

(4)ダウンロード速度がLTEの5倍に
 5G時とLTE時の性能比較を、「YouTubeのストリーミング」「Netflixからの映画ダウンロード」「Google Play Storeからの最大400Mバイトのゲームダウンロード」「Google Driveからのファイルダウンロード」によって行った(図4)。ストリーミングでは、LTEがストリーミング開始時480p、その後360pに低下したのに対し、5Gではサービス提供可能な動画解像度最高の1080pを継続しながら、LTEの2.4倍速く再生開始している。映画やゲーム、ファイルもLTEの5倍の速さでダウンロード可能という結果が出ている

図4 5GとLTEのユーザーエクスペリエンス比較
図4 5GとLTEのユーザーエクスペリエンス比較
[画像のクリックで拡大表示]

(5)エネルギー効率も向上
 音声通話と、ディスプレーを表示状態にしてデータのダウンロードなどを行った際の4400mAhバッテリー内蔵5G端末の電池寿命を確認した(図5)。その結果、少なくとも14時間使用可能となり、平日の利用には十分な値が得られた。LTEと比較した場合も、無線状況が良く、データ量が多い場合には、高速大容量で通信可能な5Gの方が、LTEよりエネルギー効率が良いとする結果が得られている。

図5 5GとLTEのエネルギー効率比較
図5 5GとLTEのエネルギー効率比較
出所:SRG
[画像のクリックで拡大表示]