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 消費者庁は2019年11月19日、消費生活用製品の重大製品事故9件を公表し、そのうち介護ベッド用手すり(サイドレール)の事故に関連して注意喚起を実施した(ニュースリリース)。この事故は、介護ベッド利用者の首がアームの上に乗った状態で発見され、死亡が確認されたもの。現在、事故発生時の状況や原因を調査中だという。

 消費者庁によると、2007年5月に消費生活用製品安全法の重大製品事故報告・公表制度が施行されて以降、介護ベッド用手すりの事故は、今回の事故を含めて81件が報告されている(表、関連記事)。そのうち45件が死亡事故である。具体的には、手すりとヘッドボードの隙間や手すりと手すりの隙間に首を挟み込む、手すり自体の隙間に頭や腕が入り込むといった事故が起きている(図1)。

表:2007年5月以降に報告のあった介護ベッド用手すりの事故件数
表:2007年5月以降に報告のあった介護ベッド用手すりの事故件数
(出所:消費者庁)
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図1:介護ベッド用手すりで発生する事故の例
図1:介護ベッド用手すりで発生する事故の例
(出所:消費者庁)
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 こうした事故を防ぐために消費者庁は、手すりがJISに適合しているか確認し、適合していない場合は適合製品に交換することを推奨。取り換えが難しい場合には隙間を防ぐ対策を取るよう呼びかける。

 2009年3月にJISが改正され、手すりと手すりの隙間や手すりとヘッドボードの隙間の基準が、安全性をより確実に担保できるよう強化された。新規格に適合していない手すりは、隙間に首などを挟み込む恐れがあるため、事業者が提供するスペーサーで隙間をふさいだり、クッション材や毛布で埋めたり、手すり全体をカバーや毛布で覆ったりする対策により、安全性を高める必要がある(図2)。併せて、ベッドの利用者が危険な状態になっていないか、周囲の人が定期的に確認するのも重要だ。

図2:介護ベッド用手すりの危険箇所(左)と挟み込み防止対策の例(右)
図2:介護ベッド用手すりの危険箇所(左)と挟み込み防止対策の例(右)
(出所:消費者庁)
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 事故の再発防止への取り組みとしては、医療・介護ベッド安全普及協議会が注意を喚起。経済産業省と厚生労働省は都道府県などの関係部局を通じ、2012年6月6日付で病院・介護施設・福祉用具レンタル事業者などに安全点検を依頼した(図3)。さらに消費者庁も、注意喚起と併せて地方公共団体への協力依頼、新聞紙上での政府広報などを利用した注意喚起を実施しているという。

図3:経済産業省と厚生労働省が事業者向けに作成したチェック表(部分)
図3:経済産業省と厚生労働省が事業者向けに作成したチェック表(部分)
(出所:消費者庁)
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 今回の注意喚起は、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づいて報告のあった重大製品事故を公表するもの。介護ベッド用手すりの事故の他に「ガス機器・石油機器に関する事故」として油だき温水ボイラーの事故1件と石油ふろがま(薪兼用)の事故1件、「ガス機器・石油機器に以外の製品に関する事故であって、製品起因が疑われる事故」として食器乾燥機の事故1件、「ガス機器・石油機器に以外の製品に関する事故であって、製品起因か否かが特定できていない事故」として発電機(携帯型)の事故1件と電動アシスト自転車の事故3件、携帯電話機(スマートフォン)の事故1件の概要を公表した。

 上記のうち食器乾燥機の事故は、2019年4月26日に「ガス機器・石油機器以外の製品に関する事故であって、製品起因か否かが特定できていない事故」として公表したもの。製品を焼損する火災が火災報知機の鳴動によって発見されたという内容で、調査の結果、この製品は40年の長期にわたって使用されていたことが分かった。基板に付着したほこりが吸湿して基板上の銅箔パターン間が絶縁劣化するとともに、トラッキング現象が発生して焼損したのが、火災の原因と推定されている。