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 JX金属(本社東京)は、従来品に比べて高密度での造形が可能な金属3Dプリンター用純銅粉を開発した(図1ニュースリリース)。2020年の年頭をめどにサンプル出荷を始める予定だ。自動車向け水冷ユニットやサーバー向けヒートスプレッダーといったさまざまな用途での採用を目指す。

図1:新開発の3Dプリンター用純銅粉
図1:新開発の3Dプリンター用純銅粉
(出所:JX金属)
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 開発品では、粉体を表面処理することで表面の酸化を防いだ(図2)。この銅粉を用いて電子ビーム方式で造形したところ、相対密度(積層造形物の実測密度/理論密度)で99.94%を達成。レーザーメタルデポジション(LMD)方式でも同98.56%を実現した。造形物の導電率は、電子ビーム方式が101%IACS(International Annealed Copper Standard)、LMD方式が100%IACSとする。

図2:表面処理による酸化防止効果
図2:表面処理による酸化防止効果
(出所:JX金属)
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 さらに、従来は造形の前工程である予備加熱プロセスで仮焼結(銅微粉同士の固着)が発生していたが、東北大学金属材料研究所 加工プロセス工学研究部門 教授の千葉晶彦氏との共同研究により、開発品では仮焼結を抑えられることも確認した。このため、従来の純銅粉と比較して微細で複雑な造形が可能だとしている(図3)。

図3:表面処理のあり/なしによる造形物の違いのイメージ
図3:表面処理のあり/なしによる造形物の違いのイメージ
(出所:JX金属)
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 金属3Dプリンターは、複雑な形状が造形できる、少量生産やオーダーメードに対応しやすいなどの利点から、航空・自動車・医療分野で採用が始まっている。しかし、その材料となる金属粉の製造では技術面での課題が多く、特に純銅粉を用いた3Dプリンティングは、造形物の相対密度が低いのが課題とされてきた。

 同社はグループとして、東邦チタニウム(本社神奈川県茅ヶ崎市)とトーホーテック(同)がチタン系合金粉を、ドイツのエイチ・シー・スタルク タンタル&ニオブ(H.C. Starck Tantalum & Niobium)がタンタルやニオブ系合金粉を供給するなど、3Dプリンター向け金属粉を展開している。今回の純銅粉の開発によって、さらにラインアップを拡充する。

 JX金属は開発品を「高機能金属展 東京展」(2019年12月4~6日、幕張メッセ)に出展する。