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 米インテル研究所(Intel Labs)らが、4Kの極低温で動作する量子ビット制御チップ「Horse Ridge」を開発した(ニュースリリース)。量子ビットを収める極低温のチャンバーでの動作を狙っている。実現すれば、チャンバー内の量子ビットと外部の制御チップを結ぶケーブルが不要になり、量子コンピューターの商用化に弾みを付けられるという。

今回開発された「Horse Ridge」。持っているのは、Intel LabsのStefano Pellerano氏(principal engineer)。写真の出典はWalden Kirsch氏/Intel
今回開発された「Horse Ridge」。持っているのは、Intel LabsのStefano Pellerano氏(principal engineer)。写真の出典はWalden Kirsch氏/Intel
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 Horse Ridgeは、Intel Labsとオランダ・キューテック(QuTech)が共同で開発した。QuTechはオランダDelft University of Technology(TU Delft)とオランダの応用科学研究機構「TNO」が、TU Delft内に2014年に設立した量子コンピューターの研究所である。発表によれば、量子コンピューターの研究では、量子ビットに焦点を合わせることが多いというのが現実だが、それだけでは商用レベルの量子コンピューターの実現は難しいという。

 今回、着目されたのが極低温チャンバーで動作する量子ビットと、チャンバー外の量子ビット制御チップの間を結ぶケーブルである。現在、量子ビットごとにチャンバー外のチップで制御していることが多いため、チャンバー内外を結ぶ接続数は数百を軽く上回るという。今後、商用化に向けて量子ビット数が増えれば、必要なケーブルはますます多くなる。

 こうした背景からIntel LabsとQuTechが開発したのが、極低温で動作する量子ビット制御チップである。今回開発したHorse RidgeはIntelの22nm FinFETプロセスで製造するミックストシグナル(アナログ・デジタル混在)SoCで、複数の量子ビットを制御できるとする。量子ビット制御のプログラムを内蔵し、各命令をマイクロ波パルスに変換して量子ビットを制御するという。

 Horse Ridgeは4Kという極低温で動作するものの、現在の量子コンピューターへの適用は難しそうだ。様々な量子ビット実現技術はあるものの、多くはmKレベルの極低温が必要だという。その中でIntel Labsのシリコンスピン量子ビットは1K以上で動作可能だという。今後、量子ビットの動作可能温度を高めたり、量子ビット制御チップの動作可能温度を下げたりして、両者が同じ温度のチャンバー内で動作することを目指す。