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 オムロンとスクウェア・エニックスは2019年12月18日、「人のモチベーションを高めるAI(人工知能)」に関する発表会を開催した。オムロンの卓球ロボットとスクエニのゲーム向けAI技術を生かし、工場の技術者やスポーツ選手などの技能習熟を支援するAI技術を開発する。技術者やビジネスパーソンの成長意欲を促す技術の確立を目指す。

オムロンの卓球ロボット「フォルフェウス」
オムロンの卓球ロボット「フォルフェウス」
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共同開発の狙い
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 「人と機械の融和を進めて、成長曲線を変えたい」。オムロンの八瀬哲志技術・知財本部研究開発センタ無線組込研究室主査プロジェクトリーダはこう意気込みを語る。技術者やビジネスパーソンとしての成長に必要な要素の1つがモチベーション(成長意欲)である。人は何かを学ぶ際、個人の能力と物事に対するチャレンジ度(困難さ)の釣り合いが保たれると、モチベーションが高まるという。しかし実際には釣り合いを取るのは難しく、成長が鈍化するだけでなく挫折したり飽きてしまったりするケースが珍しくない。

 そこで両社の技術を持ち寄り、モチベーションを維持して技能習得やスポーツの練習を続けられるようにする技術を開発する。スクエニの技術が「メタAI」だ。ゲーム向けのAI技術の1つで、ゲームのプレー状況を監視し、利用頻度やゲームの進行度などからユーザー心理を推測。推測結果に基づいてゲームの難易度を調整し、ゲーム全体の流れをコントロールする。同技術を技能習得支援システムに応用し、挫折したり飽きたりしないようにする。オムロンは将来的に自動運転、介護、接客などへの適用を目指す。

ゲームAIの役割
ゲームAIの役割
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 スクウェア・エニックスはオムロンのセンシング技術に期待する。今までもメタAI開発でバイタル情報を利用している。センシング技術に強みを持つオムロンと協力し、卓球ロボ「フォルフェウス」で取得できる体の動き、顔の表情などで人の内面を可視化できるように目指す。

 スクウェア・エニックスの三宅陽一郎テクノロジー推進部リードAIリサーチャーは「現実世界とゲームの境界線が崩れ始めている」と話す。例えば位置情報を利用したゲームだと、人が現実世界でスマートフォンを持ってプレイヤーとして遊んでいる。つまり、メタAIはデジタル空間だけでなく現実空間に影響力を発揮できるポテンシャルを秘めている。そこで同社はメタAIをオムロンとともに強化し、スマートシティなどの現実空間で利用できるようにしていく狙いがある。逆にデジタル空間での利用例として「VR機器に生体情報を取得するセンサーを搭載し、バイタル情報を利用したVRゲームが生まれる可能性もある」(三宅氏)。

 両社は共同開発した成果を卓球ロボット「フォルフェウス」の第6世代に実装。米国で開催する「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー) 2020」(2020年1月7~10日)に出展する計画である。