PR

 米シノプシス(Synopsys)の発表によると(ニュースリリース)、NECがスーパーコンピューター「SX-Aurora TSUBASA」の検証に、Synopsysの論理エミュレーター「ZeBu Server 4」を採用した。論理エミュレーターは論理設計の検証に使うハードウエアで、検証対象論理をエミュレーターのICに展開・実装する。汎用コンピューター上で稼働するソフトウエアの論理シミュレーターよりも数桁短い時間で論理を検証できる。

 NECのSX-Aurora TSUBASAは2014年に開発が始まり(関連記事1)、2017年に新製品として発売された(関連記事2)。スパコンというと何台も並ぶ筐(きょう)体を思い浮かべがちだが、SX-Aurora TSUBASAの心臓部の「ベクトルエンジン」は、同社がこれまでスーパーコンピューター「SX」向けに開発したベクトルプロセッシング技術を一般的なx86サーバーのアクセラレーターとして使えるようにPCI Expressカードとして実装されたもの(関連記事3)。これにより、ベクトルプロセッシングの活躍場所の拡大を狙っており、最近ではSX-Aurora TSUBASAは人工知能(AI)処理に適用を広げている(関連記事4)。

SXーAurora TSUBASA発表会の様子
SXーAurora TSUBASA発表会の様子
登壇したNEC 執行役員常務の福田公彦氏(当時)が手に持つのが「ベクトルエンジン」。(写真:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 スパコンの心臓部がPCI Expressカードになったことと逆行するように、検証対象論理の大規模化・複雑化により、論理エミュレーターは大型化している。2009年に登場した初代ZeBu-Serverは、大きめのデスクトップPC並みの筐体に収められていたが(関連記事5)、2018年に発表された4代目のZeBu Server 4は96億ゲート構成の場合、天井まで届く高さの5台の筐体から成り、かつてのスパコンのような様相を呈していた(関連記事6)。

「ZeBu Server 4」
「ZeBu Server 4」
手前が12億ゲート構成の機種。奥は96億ゲート構成の機種。(写真:Synopsys)
[画像のクリックで拡大表示]

 今回の発表によれば、NECはZeBu Server 4とシノプシスの「Virtual Hostソリューション」を使うことで、SX-Aurora TSUBASAの性能ボトルネックの解析に使う論理エミュレーション環境の立ち上げを4週間以内に完了したという。Virtual Hostソリューションを用いることで、デバイスドライバー、OS、アプリケーションソフトウエアと、ZeBu上に仮想的に構築したハードウエアの相互運用が可能となり、システム開発を実チップ完成前に前倒しできた。加えて、試作した実チップ上で数週間以内にチップ内の性能ボトルネック箇所を特定してファームウエア性能の問題を修正することは不可能であるのに対して、Zebu-Serverではチップ内部の可視性が高く、この問題を解決できたという。

 ニュースリリースには、NECの池田明生氏(AIプラットフォーム事業部 事業部長代理)がコメントを寄せている。「スーパーコンピューターの開発では、様々なアプリケーションソフトウエアを、開発中のHPC(High-Performance Computing)アーキテクチャー上で実行して解析する必要がある。ZeBu Server 4によって、HPCホストソフトウエアに手を加えることなく実行し、チップのテープアウト(設計完了)に先んじて数十億ものソフトウエアサイクルを流すことが可能になった。その高性能と検証環境を短期間で構築できることから、当社はZeBu Server 4を選択した」(同氏)。