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 NECは、5Gの28GHz帯基地局の無線子局(RU:Radio Unit)向けに、分散したアンテナ素子間のデジタル協調技術を開発した(ニュースリリース)。この技術によって、28GHz帯を使った屋内モバイル通信における、伝搬路の遮蔽や回折などの課題を解決できるいう。

 今回の技術は、多数の独立したアンテナを組み合わせて制御するMassive MIMO技術を応用して開発した。この技術によって、28GHz帯を使った高速大容量通信を安定した品質で実現できるという。また、分散配置したアンテナと制御ユニットの接続に、複数の信号を1つにまとめる周波数多重機を用いた。これによって、アンテナと制御ユニット間をつなぐ高周波ケーブルや光ケーブルにおける減衰/同期/電源供給などの課題を解決し、かつアンテナの設置を容易にした。さらに、NECの超小型マイクロ波通信システムの「iPASOLINK」で培った回路設計・実装技術によって、アンテナを小型化できた。例えば、8素子搭載でアンテナの面積は5cm×2cm程度に抑えられるという。

屋内における、28GHz帯やミリ波帯向け分散アンテナのイメージ
屋内における、28GHz帯やミリ波帯向け分散アンテナのイメージ
NECのイメージ
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オフィスでの利用を想定した、通信品質のシミュレーション結果
オフィスでの利用を想定した、通信品質のシミュレーション結果
左が集中アンテナ利用時、右が分散アンテナ利用時。赤矢印がアンテナ位置を示す。青色のEVM(Error Vector Magnitude)は良好な通信品質、黄色のEVM(Error Vector Magnitude)は遮蔽や干渉による劣化箇所を示している。NECのイメージ
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 NECは、開発した技術の検証のために、同社の玉川事業場の実験室で実証実験を2019年に行った。この実験用に構築したシステムは、8か所に分散設置したアンテナ、アンテナを制御するユニット、それらを制御するベースバンド処理装置などで構成されている。実験では、NECが開発のデジタルビームフォーミング技術を28GHz帯のアンテナに適用して、電波の空間合成と多重化を行うことで、高速・大容量通信に加えて、伝搬路の安定化を実現できることを確認した。また、壁や設置物による遮蔽、反射波による干渉などの厳しい伝搬環境や、複数端末が近接した環境でも安定した通信を実現できることも分かったという。

 今後NECは、オフィスビルや商業施設や工場など様々な環境で実証実験を行い、2020年内の商用化を目指す。また、同社は、今回の実証実験について、2020年1月26日~29日に米国・テキサス州サンアントニオで開催される「IEEE Radio Wireless Week 2020」で発表する。また今回の技術は、2020年2月24日~27日にスペイン・バルセロナで開催される「MWC Barcelona 2020」で展示する予定。