三菱重工サーマルシステムズ(本社東京)は空調用ファンの設計に形状最適化計算を利用し、設計作業の時間を大幅に短縮した。設計用システムの構築を支援したヴァイナス(本社大阪市)が明らかにした。ファンのプロペラの形状を変更して解析計算を実行するプロセスを自動化し、従来3カ月かかっていた作業を10日で実行し、85%の時間短縮効果があったという。

 プロペラ断面の寸法などで形状を定義し、値を少しずつ変えてモーフィングによりプロペラの3D形状を生成。このプロペラでファンのモデルを構成し、その上流側に熱交換機のモデルを設定(図1)。ファンを一定回転数で回転させて空気を吸い込む様子を流体解析により計算し、風量とファンの消費電力を予測した。最適化計算の目的をファン入力の最小化とした。

図1 空調機の3Dモデル
図1 空調機の3Dモデル
熱交換器を通して空気を吸い込む計算を何回も実行し、ファンのプロペラの最適形状を求める。(出所:三菱重工サーマルシステムズ、ヴァイナス)
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 プロペラの形状は、半径方向に内側から外側に向かって3カ所で断面(前縁と後縁を結ぶ線)を取り、その長さと角度(ピッチ)を設計変数として定義(図2)。この設計変数を変えることで形状を変更した。当初は大域的なパラメータースタディーで探査範囲を絞り、次いで勾配法で最適解を探索した。

図2 プロペラ形状の定義
図2 プロペラ形状の定義
断面線の長さと角度でプロペラ形状を決定する。(出所:三菱重工サーマルシステムズ、ヴァイナス)
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 その結果、プロペラ表面の静圧が低く、半径方向の圧力変化が緩やかな形状が得られ、入力を低減できたという(図3)。流体解析ツールは「ANSYS Fluent」(米アンシス)、最適化計算とモーフィングには「New Sculptor」(米オプティマルソリューションズソフトウェア)を使用した。

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図3 最適化計算の結果
図3 最適化計算の結果
上が静圧、下が圧力変化と流線で、それぞれ左が最適化前、右が最適化した形状。(出所:三菱重工サーマルシステムズ、ヴァイナス)
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