金属加工を手がける西川精機製作所(本社東京)は、アーチェリー競技で使用する組立式の弓のハンドル(持ち手部分)「NISHIKAWA SH-02」を開発し、米国のラスベガスで開催されたアーチェリーの国際大会「The Vegas Shoot」(2020年2月7〜9日)の展示会で発表した(図1、江戸川区の発表資料)。他の部品との接合部の工夫によってブレ振動を抑えたのが特徴。「トップアーチャーのシビアな要求に応えるハイポテンシャルモデル」(同社)との位置付けだ。
開発品では、ハンドルとリム(矢を飛ばす板ばね)の接合部に独自の構造を採用した。一般に両者を接続するときはリムをハンドルに差し込んで固定するが、開発品はハンドルに設けた溝の一部を小さくすることで、従来の構造に比べて隙間を減らしている。これにより上下・左右のブレ振動を低減できるため、矢に伝わるエネルギーの損失を減らせるという(図2)。振動の抑制は、命中率の向上に加えて「心地よいシューティング」(同社)にもつながるとしている。
さらに、リムとハンドルをつなげて弓を組み立てる際、リムの傾きを調整するための「偏心ロケーター」も搭載した(図3)。ハンドルとリムをつなげる際に中心線が分かりやすく、センターショット(ハンドルの中心を通る位置に弦を合わせる調整作業)がしやすくなるという。可動式のプランジャー(矢の軌道を安定させる部品)も採用しており、ユーザーの骨格や筋力に応じて高さを調節できる。
開発品は、江戸川区内の町工場を中心に結成した「プロジェクト桜」の成果。同プロジェクトには、西川精機製作所と金型製作の秋東精工(同)、表面処理を手がける田島製作所(同)、金属小物塗装の折井電装(同)に加えて、広報活動を担当するウェルフィールド(同)、地域・産業計画に携わる都市計画同人(同)の6社が参加し、元アーチェリー用具メーカーの技術者や大学教授などの協力も得た。