スマート・スケープ(本社東京)は、AI(人工知能)を活用した3D類似形状検索システム「SS4M」のオプションとして、グルーピング機能を追加する(図1、ニュースリリース)。類似形状を自動でグループ分けするため、検索にかかる時間を縮められるという。
同システムは、3D-CADデータを蓄積したデータベースから、形状の似たモデルを探し出すものだ。3D-CADファイル群を所定のフォルダーにコピーすると、データベースを構築できる。このとき、多視点画像や検索結果表示用のサムネイル画像、3Dモデル表示用ファイルを作成する他、製品サイズの取得や多視点画像に基づく形状特徴量の機械学習も実行する。
検索のキーとなるモデルのファイル名を入力したり、デスクトップ上の3D-CADファイルをドラッグアンドドロップしたりして検索を実行すると、類似度順に結果の一覧を表示。登録済みの属性情報や製品サイズを指定すると、検索結果を絞り込める(図2)。検索結果の一覧から2つの3Dモデルを選ぶと、それらを重ね合わせてどの程度似ているかを比較し、結果を3D PDFで出力する機能も備える。
3D-CADデータとしては、STEPやIGES、STL、3D PDFなどの標準フォーマットを取り込める他、「CATIA V4」 「同5」〔仏ダッソー・システムズ(Dassault Systemes)〕や「SolidWorks」(同)、「NX」〔米シーメンスPLMソフトウェア(Siemens PLM Software)〕、「PTC Creo」(米PTC)、「Inventor」〔米オートデスク(Autodesk)〕のネーティブデータも扱える。その他、CSV形式の属性情報ファイルを取り込み、個々の3Dデータと紐付けた管理が可能。顧客名や加工機、CAD/CAM、材料、納期、コスト、外注先などの属性名称は、ユーザーが任意に設定できる。
これらの機能によって部品の流用設計や再利用が可能になり、部品を新たに作成するのに比べてコストを抑えられる。実績のある部品を流用元にすれば、過去の製造ノウハウを生かした工期短縮や品質向上も図れる。さらに、受注実績のある類似形状部品の加工情報や価格情報を検索することにより、見積もりにかかる労力と時間も減らせるという。
新機能は、各モデルの形状から自動でグループ分けするもの。データの特徴量を基にタグ付けし、そのままデータベース内で同一グループとして扱う。この機能により、検索の基準となるデータがなくても目的の部品を探しやすくなる。加えて、今まで現場で整理されていなかったデータを新機能によって整理できるため、重複部品の発見にかかる手間を減らせる。
同社は今後、SS4MとPLM(Product Lifecycle Management)/PDM(Product Data Management)システムの連携を強化する計画。具体的には、データを相互連携させる、別システムから検索できるようにする、SS4Mでの検索結果から他システムへアクセスできるようにする、といった機能を加えていく。その他、2D図面からの3Dモデル検索や、部分的な形状からの検索などの実装も目指す。