日本ガス石油機器工業会(JGKA)は、安全性の高さを示す「PSC(Product Safety of Consumer Products)マーク」を表示したしん式石油ストーブ(以下、石油ストーブ)と石油ファンヒーターの累計出荷台数が、2020年1月に4000万台を突破したと発表した(図1)。PSCマークは、消費生活用製品安全法の特定製品に指定された製品を対象として国が定めた技術基準省令に、その製品が適合していることを示すもの。PSCマークの付いた石油ストーブ・石油ファンヒーターが普及するにつれて、重大事故件数は減少傾向にあるという(図2)。

PSCマーク表示の石油ストーブ・石油ファンヒーターは[1]カートリッジタンクの口金の安全性強化、[2]給油時消火装置の搭載、[3]不完全燃焼防止装置の機能強化の3つのポイントで安全基準が強化されている。このうち[3]は、石油ファンヒーターのみが対象。
[1]では、視覚・聴覚・触覚でカートリッジタンクの口金が確実に締まったと分かるようになった。給油時に口金が外れて灯油がこぼれ、火災に至る事故を防げる。[2]により、カートリッジタンク搭載製品で給油のためにタンクを抜くと、自動で火が消える。消火せずに給油し、灯油をこぼすなどして火災が起きるのを防ぐ。[3]は、1986年以降に搭載されている不完全燃焼防止装置の機能を強化し、一酸化炭素中毒の危険を低減するもの。PSCマーク表示品は、従来装置より少ない一酸化炭素排出量でも起動する。
石油ストーブと石油ファンヒーターがPSCマークの対象製品に指定されたのは2009年4月で、従ってPSCマークの付いていない製品は製造から10年以上経過している可能性が高い。機器の経年劣化が重大事故を引き起こす恐れがあるため、石油暖房機メーカー各社は「設計上の標準使用期間」を機器本体やカタログに記載。JGKAも、8年を目安に点検か入れ替えを推奨している。
JGKAが実施した市場残存率調査から推計すると、現状、家庭で使用している製品の約1/3はPSCマークの基準に適合しない製品だ。そのためJGKAは、より安全性の高い製品としてPSCマーク表示品の普及を推進していく。