音楽教室での演奏が著作権使用料の支払い対象になるかどうかを巡って音楽教室側と日本音楽著作権協会(JASRAC)が争っている裁判で、JASRAC勝訴の1審判決が2020年2月28日に出されたことを受け、JASRACは同日午後に記者会見を開いた。
世古和博常務理事は「東京地方裁判所の知財専門部が2年半にわたり詳細に審理を尽くした結果、JASRACがこれまでの管理業務を通じて培ってきた判断が全面的に認められたと受け止めている」と話した。今後については「現時点でも(レッスン中の演奏を対象として)著作権使用料をお支払いいただいている音楽教室事業者もいる。文化庁の指導を踏まえつつ、未契約の音楽教室事業者にも適切に案内しお支払いいただきたいと思うし、音楽教室事業者から改めて協議の要請があれば応じていく」とした。
一方、ヤマハ音楽振興会をはじめとする音楽教室事業者で組織する「音楽教育を守る会」は同日午後に声明を出し、「控訴に向けて準備を進める。3月4日に臨時総会を開催し、控訴の方針を決議する」と表明。同声明では「レッスンで使用するテキストや教材、レッスン成果の発表会では既に著作権使用料を支払っている。さらにレッスン時の演奏についてまでJASRACが使用料を徴収することは、日本の音楽教育を担う音楽教室事業を衰退させ、日本の音楽文化の発展を阻害する重大な問題だ」とJASRACを非難した。