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 塩野義製薬は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査キット導入に向けて、マイクロブラッドサイエンスと業務提携の協議を開始したと発表した。

COVID-19抗体検査キットのキット内容イメージ
COVID-19抗体検査キットのキット内容イメージ
(出所:マイクロブラッドサイエンス)
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 新たな検査法を活用した新型コロナウイルスIgG/IgM抗体検査キット「COVID-19抗体検査キット」を、マイクロブラッドサイエンスが中国企業のVazyme Biotechから輸入する計画。塩野義製薬はマイクロブラッドサイエンスやVazyme Biotechとの間で独占的供給契約が整い次第、必要とされる医療機関や検査施設、研究所などに検査キットを届ける体制を構築していく。同時に、国や地方自治体などへの寄付を含む提供方法の検討も進める。

 現在、COVID-19患者を確定する検査法には、鼻腔(びくう)や咽頭から採取した検体からウイルスの核酸を検出するPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法が用いられている。PCR法は専用測定機を必要とするほか、検査結果が得られるまでの時間が比較的長いなど、簡便性や迅速性などの課題がある。

 今回提供されるCOVID-19抗体検査キットでは、新型コロナウイルス感染の初期に体内で産生される「IgM抗体」と、IgMより若干遅れて産生され増加する「IgG抗体」の双方を、免疫クロマト法(金コロイド法)で測定する。1滴の血液検体から測定でき、10分で検査結果が得られる利点がある。Vazyme Biotechによる中国の臨床試験データでは、感度は94.03%で、特異度は97.02%だった。

 使用場面として想定するのはPCR検査前の「スクリーニング検査」である。例えば空港や港などで検疫官(医師)の判断で実施する入国者の検査や、COVID-19患者が通う事業所や学校などの接触者の検査を想定する。この他にも、亜急性期や回復期のCOVID-19患者の免疫獲得状態の把握や、COVID-19の疫学的調査や研究などにも活用できるとする。

 日本では慶應義塾大学の相川直樹名誉教授や感染症専門家などと協議を重ねている。既に東邦大学医学部微生物・感染症学講座の舘田一博教授の下、日本での検査を試験的に進めているという。