伊仏合弁STマイクロエレクトロニクス(STMicroelectronics)は、Arm Cortex-M4FベースのMCU「STM32L4+シリーズ」の新製品として「STM32L4P5」と「STM32L4Q5」を発表した(ニュースリリース)。各種メーター、産業用/医療用センサー、フィットネストラッカー、スマートホーム用品などに向ける。
STM32L4+シリーズは、2017年11月に発表された(関連記事「丸形ディスプレーに楽々対応、STがCortex-M4Fマイコン)。このときに発表されたのは6製品だった。今回追加の2製品は、既存の6製品に比べて集積したメモリー容量が小さく、その分、消費電力が低い。一方、集積する12ビットA-D変換器は既存製品が1個だったのに対して、新製品では2個になった。新製品のA-D変換器の速度は5Mサンプル/秒である。
新製品のSTM32L4P5とSTM32L4Q5のフラッシュメモリー容量は512Kビットまたは1Mビット(既存製品では1Mビットまたは2Mビットだった)、SRAM容量は320Kビット(既存製品では640Kビット)。CPUコアの動作周波数は最大120MHzで既存のSTM32L4+製品と同じである。動作時の消費電流は41μA/MHz(既存製品では43μA/MHz)。複数の低消費電力モードを備えており、例えば、シャットダウンモードの消費電流は22nA(既存製品では33nA)である。
柔軟性が高いことも新製品の特徴だとする。例えば、USBやアナログ回路は独立した電源ピンで動作可能。また、独立したクロックドメインを複数持つ。4または8チャネルのSPIインターフェース経由で、外部メモリーを利用できるという。
STM32L4P5とSTM32L4Q5の仕様はほぼ同じで、違いは128/256ビットAES暗号化アクセラレーターとPKA(Public Key Accelerator)の有無にある。STM32L4P5はこれらを集積しないが、STM32L4Q5はこれらを集積する。STM32L4P5とSTM32L4Q5のパッケージは48ピンUQFN/LQFN、64ピンLQFP、100ボールWLCSP、100ピンLQFN、132ボールUFBGA、144ピンLQFP、169ボールUFBGAが用意される。
現在サンプル出荷中で、量産出荷は間もなく開始される。価格は512Kバイトのフラッシュメモリーを集積し48ピンQFNパッケージに封止した「STM32L4P5CEU6」を年間1万個発注したときに、1個当たり3.90米ドルからである。アプリケーション開発向けに、STM32L4P5を搭載した「NUCLEO-L4P5ZG Nucleo-144 board」や「STM32L4P5G-DK Discovery kit」を用意する。