シャープは、2020年3月24日から同社三重工場(三重県・多気町)において不織布のマスク生産を開始した(ニュースリリース)。政府の要請に応じて同年2月28日にマスク生産を決定し、1カ月弱で生産開始にこぎ着けた。
1995年に操業を開始した三重工場は、主に液晶ディスプレーパネルの開発・製造を行っている。今回、生産ラインの空きスペースにマスク生産ラインを導入した。パネル製造に利用していたクリーンルームを活用し、まずは2ラインで日産15万枚からスタート。今後、5ラインまで増設し、交代制の24時間操業で日産50万枚を目指すとしている。三重工場を選んだのは、「クリーンルームを保有するなど総合的に判断した結果」(同社広報部)という。投資額や同生産ラインの従事者数などについては明らかにしていない。
親会社の台湾・鴻海精密工業では、傘下のフォックスコン(富士康科技集団)が中国・深せんで2020年2月から先行してマスク生産を始めており、製造装置を含めた生産の知見を生かして日本でも生産を開始した。まずは日本政府への納入を優先するとしている。
シャープの今回の取り組みは、国からの要請に応じたマスク増産の実現のために、新規製造ラインの設置や生産設備の導入などを支援する「令和元年度マスク生産設備導入支援事業費補助金」に応募して採択されたもの。同制度ではマスク生産に関する生産ラインの新設・増設に対して、中小企業は最大3/4、中小企業者以外は同2/3を補助する。シャープの他に、ニット製品製造のアレグロニット工業(奈良県桜井市)、白鳩(名古屋市)、北陸ウェブ(石川県かほく市)、明星産商(高知県南国市)、meteco(名古屋市)、ロキテクノ(東京・品川)と三井化学などから成るコンソーシアムの6事業者の事業が採択されている〔採択結果(経済産業省)〕。